木質バイオマス発電について説明する東泉さん。「捨てられる資源を有効利用している」と話す=22日午前、那珂川町

 材木として使えず山に放置されることが多い間伐材が砕かれ、ボイラーに投入される。那珂川町の山あいにある中学校跡地を利用した木質バイオマス発電所。間伐材などを燃料に年間約1350万キロワット時を送電する。

 事業に取り組む製材、資材販売などのトーセン(矢板市)。社長の東泉清寿(とうせんせいじゅ)さん(69)は「山で未利用のままになっている資源がもったいないので、近くで生かそうというのが出発点」と説明する。

 発電所は2014年に稼働し、年間送電量は同町の全世帯の年間電力使用量の半分以上を賄う計算。発電所の隣接地では別会社がコーヒーの栽培やウナギの養殖に余熱を活用している。

 日本は国土の約7割が山林。「小さい発電所を各地に作れば、地域完結型でエネルギーの自立ができるのではないか」と東泉さんは考える。「腰を据えて、長い目でエネルギー政策に取り組んでほしい」。解散がなく、任期が6年と長い参院議員に対してそう望む。

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参院選で各党は軒並み、再生可能エネルギーの導入強化を強く打ち出す。一方、原子力発電については対応が割れる。安全性が確認された原発の再稼働を推進する主張と、原発の廃止や依存しない社会の実現を目指す主張とが対立する。

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 「何かあったときに高コストの原発はもうこりごり」。塩谷町でカフェなどを備えたバリアフリー鉄道農園を営む水野雅章(みずのまさあき)さん(71)の実感だ。

 東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物。環境省が塩谷町内の国有林を処分場(長期管理施設)の詳細調査候補地に選定してから8年弱。今も処分場の「白紙撤回」を求めるサイレントアピールを続けている。

 「再稼働ありきで『安全が確認された』と言われても、不信感が強い」。原発ではなく、各地で小型の風力や水力発電が推進されることを期待する。

 一方、産業界などからは「再稼働は待ったなし」との声も上がる。高根沢町の会社役員男性(51)の会社では、今年5月の電気料金が前年同月から4割近く上がった。燃料や資材も高騰しコストがかさむが、価格への転嫁は難しい。「電気代は大きな負担。同じように苦慮している企業も多いのではないか」と苦しい胸の内を明かす。

 猛暑で冷房利用の増加などで電力需要の逼迫(ひっぱく)の恐れが高まっている。日々の生活の中でもエネルギー政策のあり方が問われている。

 ミニ解説  各党とも再生可能エネルギーの導入推進や、温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現などを盛り込む。原発政策を巡っては、自民党が安全が確認された原子力の最大限の活用を掲げる一方、野党は原発再稼働の賛成と反対で主張が分かれる。放射性物質を含む指定廃棄物処分場(長期管理施設)の問題では、県内で廃棄物の暫定集約や指定解除の動きが出ている。