
下野新聞社の会員制組織「しもつけ21フォーラム」の3月例会が13日、宇都宮市内で開かれ、日本ペイント社長の喜田益夫(きだますお)氏(60)が「塗料事業における経済的価値と社会的価値の最大化」と題して講演した。
同社は主に住宅やビルなどの建築物塗料、橋梁(きょうりょう)・プラントなどの大型構造物用塗料、自動車補修向け塗料を開発製造している。喜田氏は宇都宮市清原工業団地に構える栃木工場で多種多様な製品を製造していること、日産自動車やホンダという大手取引先があることを引き合いに「栃木県は重要な拠点」と説明した。
現在、建築物塗料では耐候性や遮熱性を高め、自動車塗料では省エネ・脱炭素化に向け工程短縮を図るなど、それぞれの分野で機能強化を進めていることを紹介。新型コロナウイルス禍に伴い抗菌・抗ウイルス塗料の普及にも力を入れており、「経済的な価値の向上とともに、いかに社会課題へ貢献するかに取り組んでいる」と強調した。
喜田氏は「国内の塗料産業は成熟している」と分析しつつ、自社の成長には「人材の成長が欠かせず、自前での育成が重要になる。若い人がトライできる風土改革が必要だ」と述べた。
喜田氏は京都府出身。1988年に入社し、自動車塗料事業本部中上塗料技術部長、汎用(はんよう)塗料事業本部長などを歴任し、2019年から現職。