日光で見えたオーロラは紅鶸色(べにひわいろ)だった。11日夜、戦場ケ原の遊歩道で、北の空に現れたオーロラの撮影に成功した日光市足尾町上間藤、日光市職員北山建穂(きたやまたてほ)さん(49)は、繊細な色の世界に造詣が深い。初めて耳にする色の名前だが、幻想的な色合いなのだろう。何しろ語感がいい▼北山さんは日光市文化財課世界遺産推進係長。世界遺産登録25周年の今年、さらなる普及啓発に取り組んでいる。趣味の写真も玄人はだしの腕前で、近く4冊目の写真集を出版予定。すべて「色」にこだわった内容となっている▼今回、世界各地で観測されたオーロラは、太陽の表面で起こる爆発現象「太陽フレア」が影響しているとされる▼「最悪シナリオ」を総務省が2022年にまとめている。2週間太陽フレアが連続発生した場合、昼間に携帯電話は最大数時間のサービス停止。カーナビや自動運転の位置精度が最大数十メートルずれ、衝突事故が発生する。なんとも恐ろしい▼北山さんの2冊目の写真集「四季彩 言の葉 百色(ももいろ)図鑑」では、鮮烈なピンクのボタンが紅鶸色。スズメ目アトリ科の小鳥ベニヒワの頭の羽の色に由来するという▼実は、太陽フレアの活動ピークは来年とされ、最悪シナリオが気になる。美しい色の名前を教えてくれたオーロラではあるが。見たいような、見たくないような。