下野新聞の役割と使命

 下野新聞をあらためて、じっくり読んでみてください。一つ一つの記事や見出し、扱いの大小、コラム・解説の視点や論調、そして天気、おくやみ、人事などのさまざまな情報。それらはすべて、140年以上にわたり、栃木県に根を張ってきた地域ジャーナリズムの実践の証なのです。

 下野新聞の記者たちは県民・読者と喜怒哀楽を共にしながら、多様な意見に耳を傾け、日々ニュースや情報を発信しています。政治、経済、事件事故、災害、社会問題、スポーツ、文化。森羅万象を捉えた記事の底流には「県民生活の向上」といった願いや「郷土愛」があるのです。

 地域密着の地元紙だからこそ見える社会課題があります。そうした問題を丁寧に取材し、深掘りした独自記事は、社会を変える原動力にもなります。下野新聞記者は県民・読者に代わって地域社会をウオッチし、ペンの力で世の中に訴えているのです。

 新聞記事は最前線の記者が原稿を書くだけでは完成しません。経験豊かなデスクが内容や人権上の問題などをチェックし、必要な手直しをします。また編集幹部によるデスク会議でニュースの価値を議論し、記事の格付けを行います。こうしたプロセスを経て紙面の構成が決まり、編集姿勢を外部に示していくことになるのです。

 デジタル社会の進展を受け、下野新聞は電子新聞や自社ニュースサイトでの情報発信にも力を入れています。若者の新聞離れが指摘される中、より多くの人たちにニュースや情報を届けていくためです。新聞のウイークポイントである速報性やビジュアル性をデジタルで補っていく狙いもあります。

 SNSなどを使ったフェイクニュースやデマが社会問題化しています。一方、デジタル向けの下野新聞のニュースや情報は、デスクチェックや議論を経ている点でも、信頼度は新聞と変わりません。長い歴史の中で育まれてきた新聞編集の文化が、デジタル報道の土台も支えているのです。

 新聞は「社会の公器」とも言われます。下野新聞が加盟する日本新聞協会は「おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである」と新聞倫理綱領でうたっています。

 下野新聞はこれからも、県民・読者の「生活必需品」であり続けたいと考えています。国民の「知る権利」に応え、地域ジャーナリズムを守り抜いていくのです。

 

下野新聞社編集局長
町田明久