ブレックスの守備網にズレを生じさせ、一瞬できたノーマークで富樫が3ポイントラインからラストショット。
「最後の最後で集中力が切れてしまった」と遠藤。シュートカバーに入った竹内公輔は「マークに自分が行くのか、遠藤が行くのかコミュニケーションをしっかり取れれば解消できていたかもしれない」とラストワンプレーを悔いた。

延長戦で狂った歯車。
試合後、安齋HCは「細かいミスが大舞台での負けにつながると自分も分かっていたし、選手にも伝えていたが、今日はそれが出てしまった」と語った。
富樫を第4Qまで無得点に抑える完璧なディフェンスだったが、最後の5分間で5得点を許した。また、延長戦での11失点のほとんどがオフェンスリバウンドから。リーグ屈指のリバウンド力を誇るブレックスが、ゴール下の争いで後手に回ったことが痛かった。
加えて、重要な局面の攻撃は千葉の守りやすい1対1に偏り、スチール、ブロックショットで攻撃権を奪われた。
「そういうところで個人になってしまうのが弱さであり、オフェンスが伸びないところにつながっている。たらればなんていくらでもあるが、そこのところを全体的な反省として個人個人が持っているかが大切。こうしておけば、ということを思わなかったら次もまた同じことをする」。安齋HCは選手たちに意識改善を求める。

だが、ここが終わりではない。
「残りの何秒間で勝負が決まってしまうのはバスケットの残酷さでもあり、面白さでもある」とゲームキャプテンの渡邉は悔しさをにじませつつ、「振り返れば修正できた点もあるが、一発勝負の中で出し切れたことは次につながる。競った試合に勝ちきれないという自分たちの現状を知って、一人一人がチャンピオンシップへ向けて成長することが大切」と糧を強調した。
Bリーグ初代王者に輝いた2016―17シーズンも、千葉に大敗した天皇杯など多くの敗戦から這い上がった結果だった。栄光までの道のりには挫折や壁にぶつかることも付きもの。ここが王座奪還への再スタート地点になる。
野中美穂・文 / 橋本裕太・写真
(この記事はSPRIDE[スプライド] vol.29に掲載)