下野奨学会は、日本の将来を担う高校生を応援しています。

公益財団法人下野奨学会
第64回下野奨学生の卒業作文集「さくら」から

 公益財団法人下野奨学会は栃木県の優秀な人材育成に貢献するため、経済的に厳しい環境にある県内高校生に毎月、奨学金を給付し、就学を支援しています。

 2024年3月、県内高校を卒業した第64回下野奨学生22人の作文集「さくら」から、4人の作文を紹介します。

 奨学生のプライバシーに配慮するため、氏名や卒業高校名を匿名にし、文章の一部も変えています。

VOL.1 「高校生活を振り返って」

県南地区私立高校卒業生(女子)

 先日私は無事卒業式を迎えることができました。今振り返ると、高校三年間は、本当にあっという間でした。しかし、多くのことを感じ、経験することができた三年間でした。

 私にとって高校生活の一番の思い出は、部活動です。私は最初、行くだけ行ってみようという軽い気持ちで見学に行きました。しかし実際に行ってみて、優しく仲のよい先輩方と、そんな先輩方のつくる部の雰囲気が非常に私に合っていて、絶対にこの部活に入りたいと思い入部しました。

 コロナ禍でさまざまな制限がある中、マスクを取って本音を語り合える部活動は、何より私の心の支えでした。勉強との両立は大変でしたが、部活動を通して先輩、後輩多くの人と関わり、多くのことを経験することができました。そして何より、これからもずっとよろしくねと言い合える友達に出合うことができました。

 三年生になり部活を引退してからは、今まで部活のあった時間を有効に使い、毎日学校の自習室に残って勉強に励みました。

 勉強をしていて、自分自身が嫌になり、もう諦めたいと思うことが何度もありました。そんな時に私の支えとなったのは、毎日一緒に学校に残って勉強していた友達の存在でした。つらい時でも、友達がそばにいてくれるだけで気持ちが楽になり、友達も頑張っているから自分も頑張ろうと思うことができました。

 四月から私は、地元から離れた大学に通い、一人暮らしを始めます。慣れない土地での生活には多くの不安もありますが、それ以上に多くの出合い、経験への希望でいっぱいです。そして、大学生活を通して、今度は私が多くの人を支え、社会に貢献できる人材になれるよう努力していきたいです。

 最後に、三年間私を支えてくださった多くの人々に感謝の気持ちを伝えたいです。本当にありがとうございました。

VOL.2 「三年間を振り返って」

県央地区県立高校卒業生(男子)

 まず初めに三年間のご支援本当にありがとうございました。奨学会の皆さまのご支援のおかげで金銭面の心配をすることなく勉強に打ち込み、望んでいたような成果を上げることができました。もし皆さまのご支援がなかったとしたら、このような結果は得られなかったと感じています。本当にありがとうございました。

 振り返ってみると私の高校生活は本当に多くの方々に支えられた三年間であったと感じています。三年次にはもちろんのことで、一、二年次のころから担任の先生をはじめとする多くの先生方の熱心な指導のおかげで勉強する習慣を確立し、勉強に対するモチベーションを向上させることができ、このことが三年次の受験勉強の基礎となったとひしひしと感じています。

 また、その時に出合った友人たちとは互いに勉強を教えあったり、アドバイスをし合ったりすることを通して、互いに切磋琢磨することができ、彼らのおかげで苦しい時も頑張り続けることができたと感じております。

 そして、高校卒業後は大学で気象学を懸命に学び、大学卒業後は気象関連企業などへ就職して、気象の研究や、災害の危険性の呼び掛けによって社会に働き掛け、災害の被害の縮小に貢献することを通して、お世話になった皆さまの役に立ち、何らかの形で恩返しをしたいと考えています。

 重ねて下野奨学会の皆さまの三年間のご支援にお礼を申し上げることとともに、貴奨学会の一奨学生としての自覚を決して忘れず、社会に貢献できるような人間になることをここに宣言いたします。

 三年間本当にありがとうございました。

VOL.3 「一期一会」

県央地区県立高校卒業生(男子)

 三月一日、たくさんの先生方や後輩たちに見送られ、無事に卒業することができました。大切な仲間との別れを身にしみて実感し、とても切ない気持ちになりました。

 私は高校三年間を通し、さまざまな形で交友関係が広がっていきました。まるで水が川を流れるように、ごく自然と広がっていきました。勉強について互いに教え合い、共に切磋琢磨し合った友。リズムの取り方の違いでケンカした友。同じ目標に向かって共に精いっぱいを尽くした友。

 彼らは皆優しく、相手の立場になって考えることのできる大切な友人です。そんな彼らと共に高い壁を乗り越え卒業できたことをありがたく感じています。大切な友人に出合うきっかけを作ってくれた高校に入学できたこと、人に恵まれ、最高の卒業式を迎えることができたことに感謝しています。

 そんな友人たちと別れを告げ、それぞれが別の道を歩むことになりました。私は大学四年間で、自分に可能な限りのことを最大限行うと決めました。試験や資格の取得、第二、第三言語の習得など、限られた時間を有効に使えるように工夫を凝らしたいと考えています。また、新しい友人や、自分とは異なる考えを持つ方々と出合い、さまざまな活動に参加したいと思っています。そこで得た新しい考え方や発想を組み合わせ、人として成長できるよう精いっぱい頑張ります。

 最後になりますが、三年間未熟な私を支えていただきありがとうございました。支えてくださった皆さまのように、私も将来たくさんの人の支えになります。お世話になった家族や友人、先生、そして下野奨学会に携わってくださった方々、すべての人々への感謝の気持ちを忘れず、全力で頑張ります。

VOL.4 「高校生活を振り返って」

県北地区県立高校卒業生(女子)

 私は先日、大好きな高校を卒業しました。三年生になってからは時の流れが早くなったように感じ、テストや受験のための勉強に追われていたあの日々も、もう既に懐かしいです。

 私の高校生活は、やはり新型コロナウイルス感染症の影響を受ける場面もありました。しかし二年次には沖縄へ修学旅行に行くことができました。行事を全力で楽しめるうれしさと、沖縄の異国情緒あふれる雰囲気、そして戦争の生々しい記録から受ける胸の痛みなど、体験するものすべてが新しく感じられました。

 三年次には、写真部の部長を務めさせていただきました。昨年度の部長であった先輩や顧問の先生、部員の方々の力を借りて活動することができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。

 文化祭などの行事を全力で楽しむ反面、大学受験に向けた勉強の日々は、投げ出したくなるくらい大変なこともありました。そんな日々の中、クラスの友達との何気ない会話や、昼食を一緒に食べる時間は、私の心を何度も救ってくれました。

 この日々は受験のためだけでなく、将来の夢のための時間でもありました。私は患者さんの心のケアに尽力できる看護師を目指しています。そのために、高校三年間で得られたものを自分の強みとし、大学で役立てていきたいと思います。周りの人々に数えきれないほど助けてもらったこの三年間は、私の宝物です。三年間お弁当を作ってくれたり私や弟たちを第一に考えてくれた母親には感謝してもしきれません。また、充実した高校生活を送れたこと、夢に向かって進めることは、高校の先生方、そして下野奨学会の方々のおかげです。本当にありがとうございました。

 私はこれからも、ご恩を忘れず、看護師になるために努力をし続けます。最後に在校生の皆さん、毎日を大切に、周りの人々と助け合いながらたくさんのことを経験してください。応援しています。