記憶の行方 語り継ぎの今 ①ピースうつのみや(上)

行き場失う「声なき声」

 宇都宮市中心部にある6階建ての市中央生涯学習センター。その地下に、広さ6畳ほどの倉庫がある。戦後40年目に産声を上げた市民団体「ピースうつのみや」が、宇都宮空襲の惨禍を伝える資料を保管している。

 

 7月下旬。夏空が広がる屋外とは対照的に真っ暗な廊下を、代表の田中一紀(たなかかずのり)さん(83)が勝手知った様子で進んで明かりをつけ、ドアを開けた。

 

 「一つ一つに市民の思いがこもっているんです」

がらんどうとした倉庫の棚を整理する田中さん=7月31日午前、宇都宮市中央生涯学習センター
がらんどうとした倉庫の棚を整理する田中さん=7月31日午前、宇都宮市中央生涯学習センター