戦禍の残像 継がれる痛み ②戦争PTSD(下)

死ぬ間際までもがいた父 1枚の履歴書に新事実

 

 2021年夏。千葉県睦沢町の歴史民俗資料館で、「太平洋戦争」と題した企画展が開かれた。当時、同館に学芸員として勤めていた歴史研究家久野一郎(ひさのいちろう)さん(69)=宇都宮市出身=による企画だ。

 展示資料の中には元海軍兵の父義男(よしお)さんの写真などの遺品も並べた。パンフレットでは戦後、酒に溺れ38歳で亡くなった父を「戦争体験で心を痛めた」と紹介。数々の展示会を企画してきた久野さんが、父について触れるのは初めてのことだ。