記憶の行方 語り継ぎの今 ⑦託す(上)

戦禍を伝えて四半世紀

 

 居間の隅にうずたかく積まれた紙ファイルの束が、重ねた時の長さを物語る。

 

 「4千通ぐらいになったのかな」。宇都宮市の自宅で大野幹夫(おおのみきお)さん(93)は7月下旬、ファイルにとじられた感想文を大事そうにめくった。自身の戦争体験を聞いた小学生から寄せられた。