
女性の健康週間は、女性が健康で明るく、充実した日々を過ごすことを支援するために創設されました。この週間に合わせて自身の健康を見直しましょう。
特に若い女性については、無理なダイエットによるやせすぎが問題となっています。
また、女性ホルモンの変化が原因となる健康トラブルについても注意したいところ。骨粗しょう症、更年期障害などのほか、心の健康にも気を配りましょう。
ダイエット
「やせたい」が原因?
20代の低体重が急増
ダイエット志向は成長期にある思春期の女性に多い傾向があります。「平成21年度 県民健康・栄養調査結果」によると、20歳代女性の低体重の割合が34・4%となり、平成15年度の前回値(17・9%)に比べて大幅に高い値を示しました。
こうした「やせたい」という願望は、時に大きなリスクを伴います。なぜなら、思春期の無理なダイエットは女性ホルモンのバランスを崩し、月経不順や無月経を招きかねないからです。
女性ホルモンの分泌が高まる思春期(特に小学校高学年ごろ)は、骨芽細胞が活性化して骨量がグンと増える大切な時期。その後、20歳ごろになって全身の骨量は最大に達しますが、この時期に過度のダイエットを行っていると、年齢を重ねてから骨粗しょう症になるリスクを高めてしまいます。
近年、2500グラム未満の低出生体重児が増加傾向にありますが、妊娠前の母親のやせ、低栄養が要因の一つとされています。
ちなみに、思春期の女性が必要とする1日の鉄分量は、成人男性の2~3倍ともいわれています。月経が始まるこの時期にダイエットをすると、鉄分不足に拍車がかかって貧血を招く恐れがあるなど、健康への影響も懸念されています。
20代女性の低体重(やせ)の割合が大幅に増加!
女性ホルモン
健康の鍵を握る、
2つの重要な物質
女性には、卵巣から分泌される「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類のホルモンがあります。「エストロゲン」は体の健康を守り、「プロゲステロン」は妊娠をサポートします。
妊娠・出産にはどちらのホルモンも不可欠で、月経周期を決めるなど女性の体づくりに欠かせません。
同時に、健やかに生きるための力を与えてくれる大切なホルモンでもあり、例えば骨・皮膚・毛髪の代謝、脳や血管の働き、自律神経のバランスを保つなど、心と体の健康を左右する重要な役割があります。
こうした女性ホルモンの増減は心身への影響も大きいため、ホルモンバランスはいわば健康の「鍵」と言っても過言ではありません。
女性のがん
早期発見には
検診が最も有効
「乳がん」はすべての女性に起こり得る病気とされています。その理由は、女性ホルモンのエストロゲンには、がん細胞の成長を助ける働きがあるからです。
特に30歳代から急激にリスクが高まり、50歳代でピークを迎える乳がんは、本県でも罹患(りかん)率が最も高いがんです。
乳がんの初期は自覚症状はほとんどなく、セルフチェックだけではわかりません。早期発見には検診が最も有効で、40歳以上なら2年に1回、マンモグラフィ検査と視触診による定期的な検診をおすすめします。
「子宮がん」には「子宮頸がん」と「子宮体がん」の2種類があります。子宮の入口にできる子宮頸がんは20~30歳代の若い女性に多いとされ、がんになる前の状態で発見できれば確実に治療できるため、検診での効果が期待できるがんです。
一方、女性ホルモンのアンバランスや出産経験の有無が関係する子宮体がんは、閉経後の女性に多く、自覚症状として不正性器出血がみられます。症状があればすぐに医療機関や検診を受診してください。
喫煙
女性ホルモンに
悪影響。
特に妊娠中はリスク大
喫煙は女性ホルモンの分泌や作用を低下させ、体調不良を引き起こすなど、女性の体をむしばむ元凶です。
特に妊娠中の喫煙は深刻で、先に触れた2500グラム未満の低出生体重児のリスクが2倍になるほか、早産・自然流産、妊娠・分娩合併症、周産期死亡の危険性も高まります。
また、喫煙によって低出生体重児の確率も高くなり、非喫煙者の夫婦と、夫婦とも喫煙者のケースを比べると、約2・8倍もの差があることがわかりました。
飲酒
妊娠期・授乳期の
飲酒に要注意
女性ホルモンは肝臓でのアルコール分解を低下させる働きがあることから、女性は男性よりもアルコールによる影響を受けやすい体質といえます。
妊娠中の女性がアルコールを摂取すると、胎児アルコール症候群等のリスクが高まり、また、授乳中の飲酒は、母乳を介して乳児の発達障害等の原因にもなります。
昔から妊娠期・授乳期の飲酒がご法度とされているのは、以上のようなリスクがあるからです。