
1972年、那須塩原市生まれ。日本タイカービング協会会員。タイフェックス2014カービングコンテスト金賞。3年前に開講したカービング教室「CARVING POEM」主宰。
(問)石川さん
電話番号 0287・37・5578
メールcarvingpoem@yahoo.co.jp
●フルーツカービングを始めたきっかけは?
カービングを習い始めたのは6年前。たまたま見ていたテレビで、スイカにカービングを施したその優美さに一瞬で惹き付けられました。次の日には県内の教室を探し、すぐに申し込み。当時は宇都宮に一箇所しか教室がなく、そこに1年間通い基礎を学びました。その後、さらに技術習得のために1年間東京に通いました。いつの間にかカービングの真髄を追求していたましたね。
●カービングの魅力を教えてください。
野菜やフルーツを扱う食品会社に勤めていること、もともと芸術的なものが好きということ、カービングには私の好きなこの二つがピッタリと重なったように感じています。デザインを考えて「彫る」楽しみ、それを「見る」楽しみ、最後に「食べる」楽しみ。そしてフルーツなど生の素材を使ったカービング作品は2~3日間しか持ちません。その「儚さ」もまた感慨深いです。カービングに出会えたことで、たくさんの楽しみを知ることができました。一つ一つの工程が魅力的。また、作業に必要な道具はナイフ1本だけという手軽さも魅力ですね。
●一つの作品に要する時間やテクニック、難しさを感じる部分を教えてください。
大会のとき、結婚式やプレゼントして作るとき、そのシーンによって時間は大きく変わります。ナイフ一本で描くラインの出し方や深さ、動かし方や回し方などタイの伝統的なデザインが基本テクニックとしてありますが、そこに自分なりのアレンジを加え世界で一つの作品を作り上げます。
デザインを考えるときが一番難しく感じるときかもしれません。ただ、それも「苦」ではないのです。難しい部分を考えるのも楽しみの一つです。
●今年5月にタイで行われた大会での優勝おめでとうございます。そのときの作品のテーマや作品に込めた思いなど教えてください。
大会の制限時間は3時間。デザイン、技術、クオリティ、スピード、この4つの力を競うことに加え、どれだけ目立つかなど個性を出すことも重要なポイント。今回は日本の「和」を意識して5種類のフルーツを使い「ジャパニーズガーデン」を表現しました。カービングでは幾何学模様や植物の模様を使うことが一般的ですが、そこに独特の表現を出すために「ふくろう」など動物を彫ることにも挑戦しました。
海外での大会には初出場だったのですが、家族や職場の方の支えがあったからこそ実現できました。出るからには「優勝」という強い気持ちをもって挑んだ大会です。日々の練習も重ね、また、現地に入ってからも大会直前までタイの食材に手を馴染ませるようにひたすら練習を続けました。世界チャンピオンを取ったときは嬉しさよりも安心感のほうが大きかったです。
●今後チャレンジしてみたいことは?
石鹸にカービングを施した作品を見かけることがあると思いますが、フルーツなどに比べ、石鹸はより高度な技術で、細かい部分まで彫ることができ、自分にしか出来ない表現や、その作品を残すことが可能です。今は、イメージに合わせた大きさの石鹸を作ることから作品作りが始まります。いつか、石鹸でできた壁画など、自分が表現できる最大限の作品を作ることが夢。また、カービングの素晴らしさをもっと伝えたいです。技術を伝授するだけでなく、たくさんの方に作品を見てもらえるような機会を増やしたいと思います。