
星を眺める機会が少ない梅雨の時季。鹿沼市文化センターのプラネタリウムでは25日から、完全オリジナルのプラネタリウム番組「星の収穫」の投影が始まります。地元アーティスト制作としては初となる番組。制作を手掛けた沼尾妙子さん(音楽・声の出演)とたかむらゆきさん(絵・脚本)に、番組への思いなどをお聞きしました。
●プラネタリウム番組をお2人で製作するきっかけは。
沼尾 2015年のプラネタリウムコンサート」の時に、たかむらさんとのコラボ曲を演奏したのを担当の方が聞いて「2人で番組とかできそうですね、どうですか」って、話を持ちかけていただきました。
たかむら 何かのきっかけになるだろうと思って、「やりましょう」ということになりました。
●完全オリジナルで作られたそうですね。
沼尾 2人で何回もミーティングを重ねて、話を作るところから始まりました。一般的な星座の神話に基づいた話というより、私たちのオリジナルの世界を作りました。
曲も書き下ろしです。空間が広いイメージを音楽でも表現したかったので、シンセサイザーでホワーっとした音に星っぽいキラキラを足して、エコーとかかけまくって。見ていて気持ちいいだろうなっていうのを心掛けて作りました。
たかむら キーワードとか、原案を2人でダーっと出し合って、ノートに書いていったものを私が脚本にまとめて、絵コンテをいれました。

●初めてということで、大変だったのでは。
沼尾 台詞の演じ分けが難しかったです。滑舌も気になったり、イントネーションが分からなくなったりしましたね。
たかむら キャラクターとして見せることを普段はやっていないので、身構えてしまって調子が狂いました。どうしていいか分からない時は、妙子さんに写真を送って「どこが悪いですか」って聞いて。かなり改善されて、何とかできました。
昔から鉱物が好きで、モチーフにしていたんです。それが上手く生かせました。自分の中にあるものしか出せないので、趣味全開でいきました。

●個人での制作との違いは。
沼尾 お互いの世界観で重なっているところがあるので、ゆきさんのどんな作品を見ても、「ああ、これで何か生まれるだろうな」って思ってしまう。不思議な感じです。
たかむら 自分の絵の中のBGMに、自然と妙子さんの音楽が流れていることに気付きました。曲から絵が生まれるってことは、今までなかったので、すごくいい形で引き出される感覚です。
●制作を終えて感じたことは。
沼尾 映画やドラマの中で流れる「劇伴(劇中音楽)」だと思って作りました。それができて「夢かなったな」って。自分が好きなようにできたのが、すごく楽しかった。
たかむら 大学でアニメーションを学んでいたので、音楽と絵の掛け合いみたいなのに憧れがありました。アニメとはまた違いますが、自分の絵に音楽がのる作品を作れたので「夢かなったな」って思いました。
●鑑賞に来てくれる人へメッセージを。
沼尾 何も考えず、何も詮索せずに、流れている物語を素直に見ていただければ、一番うれしいですね。
たかむら 何かしらかけらでもいいので、後々子どもが大人になったときに「あれ、これ見たことあるな」って、ちょっとでも記憶に残ってくれたらうれしいなって気持ちはあります。
たかむら 去年の夏あたりに、コラボした曲も増えてきたので「ユニットどうよ」みたいな話で「ちゃんとやりましょうか」って。
沼尾 作曲家の新実徳英さんと詩人の谷川雁さんとの曲集「白いうた 青いうた」をいつも聴いていて。自分は青が好きで、たかむらさんは白が好きだったり。お互いの糸を編み込んでいったら作品ができて、物語になりました。という意味を含んでいます。
白い糸青い糸 http://shiroiito-aoiito.jimdo.com/鹿沼市民文化センター プラネタリウム夏・秋番組「星の収穫」
■土曜:午後1時半
■日曜:午前11時、午後1時 (i投影時間:約40分)
■幼児 無料、 小中学生100円、高校生200円、大人300円
(問)0289・65・5581