今月23日はこども読書の日です。親しい人に本を贈るサンジョルディの日(本の日)でも。新型コロナウイルスの感染拡大で、学校が休みになっている子どもたちに、こんな時こそ良質な本を読ませてあげては。一つのテーマに沿って、人物を紹介する月イチ企画「Tochigi 人びと」、今回は絵本に魅せられて、絵本と共に歩んできた人を紹介します。

魅力、楽しさ 知ってほしい

「絵本の魅力をたくさんの人に知ってほしい」
1971年から約40年間、絵本や児童書の訪問販売の書店を営んでいました。そのころの在庫や、わが子のために買い集めた絵本を生かすために、妻・志げ子さんの提案で自宅に併設した元店舗を2010年に改装し、「絵本館」をオープンしました。
絵本や児童書など約4000冊を展示。広く知られる絵本から、絵本の原点と言われる1695年刊行・コメニウス著「世界図絵」の復刻版など貴重な本も並びます。

「絵本の始まりから現代絵本まで、日本をはじめ世界の絵本を見られます。気軽に利用してほしい」と郡司さん。自由に本を読んだり、交流できるスペースもあり読み聞かせグループなどが訪れています。
また、書店時代から絵本について学び、母親向けの勉強会などで読み聞かせの大切さや絵本の魅力を伝えています。「絵本の話をしたいし、聞いてもらえたら幸せです」
来館の際はお問い合わせを。無料。貸し出し可。
不定休(利用時間は応相談) Ⓟ3台

思いやり、優しさを学んで

32年間勤めた宝木保育園を定年退職後に、持っていた名作絵本で、念願だった「えほんのやかた」をオープンさせました。その後、2019年に子ども文庫助成事業を行っている「伊藤忠記念財団」の「子どもの本100冊助成」に応募。絵本100冊を寄贈してもらい、冊数が増えました。
ジャズ好きの夫、荒井力(つとむ)さんが作った音楽ホールに隣接した県産材のログハウス。中に入り目の前にある階段を上ると、秘密基地のようなロフトが子ども心をくすぐります。1階には壁一面の絵本と一緒に腹話術の人形やぬいぐるみがたくさん。腹話術が趣味の純子(すみこ)さんが来館した子どもたちに披露してくれます。収蔵の絵本は、日本の昔話からピーターラビットや手のひらサイズの豆本、仕掛け絵本などいろいろ。一歩足を踏み入れたら絵本の世界に入り込めます。「絵本から思いやりや優しさを学んでほしい」と純子さん。子どもや孫と一緒に、懐かしい絵本の世界を楽しんでみませんか。閲覧利用は無料(保護者同伴)。
正午~午後5時 月・火曜休 Ⓟあり

「次」につなげるお手伝い
おひさま堂 大橋悦子さん(64) 那須

本のあらすじのほか分かりやすい言葉で魅力を伝える、JPIC読書アドバイザーの資格を持ちます。
本好きが高じて15年前に古本のネット通販を始めました。「受け取ってくれる人の表情が見えないのは寂しい」と、8年前、那須町への移住に合わせ「おひさま堂」をオープン。読み手と聞き手の間にコミュニケーションが生まれる「絵本」を中心に、捨てられず、誰かに譲りたいと、引き受けた約2000冊の古本を販売。
「たくさんの思い出が詰まった一冊の本を次に手に取る人へつなげていく。それが古本の良さでもあり、私の大切な役目だと感じています」。まずは一ページ一ページ開き、元の持ち主の幸せな時間を想像しながら、修復にも心を込めます。
家に遊びに来たような感覚で本を探し、本に囲まれくつろげる空間。「ここで出合った本が大切にしてくれる人へ渡ってくれたらうれしい」
午前10時~午後6時 水曜、第1・3木曜休 Ⓟ4台

たくさんの親子を笑顔に

「お母さんと来ていた子が20歳になり就職するって来てくれました。子どもたちとのつながりがうれしい」
夫の転勤で北海道で暮らしていた時に読み聞かせボランティアの研修を受け、ボランティアグループ「ぱたぽん」を立ち上げました。店名でもあるぱたぽんは、フランスの絵本「まりーちゃんとひつじ」に登場する「ひつじのぱたぽん」から。研修で初めて出合い、自身が生まれた年に日本で発行された思い入れのある一冊です。
さらに、小樽市の絵本・児童文学研究センターで絵本から児童書までを学びました。地元那須烏山に戻り、いわむらかずお絵本の丘美術館などに勤務。その後、企業で働き絵本から離れたことで、絵本への思いが深まり開店へ。
16年目を迎えたカフェは木のぬくもりと柔らかな日差しが心地よく、約2000冊の絵本がたくさんの親子を笑顔にしてきました。ぱたぽんと共に歩み続けます。
午前10時~午後5時 日・月曜休 Ⓟあり

国内外の厳選古書3000冊

古本だとは思えないほどきれいで色鮮やかな厳選された約3000冊の絵本が机いっぱ いに並んでいる店内。「背表紙ではなく、表紙を見てほしい」とあえて平積みにしてあります。子どもの頃に読んだ懐かしい絵本に出合えるかも。
絶版となった絵本や、英語やチェコ語、フランス語、しかけ絵本など、なかなか手に入らないものも。壁にはアート冊子や年代物の画集も並ぶ夢のような空間です。
店主の片山典宏さんは、かつて大手書店に勤務。担当だった児童書の魅力にひかれ古本絵本を販売しようと独立。全国のイベントに出展し販売を開始しました。2019年5月に店舗を構え、イベントの合間に店を開け販売と買取りを行っています。
片山さんが選ぶ絵本は、内容も状態も厳選されたものばかり。また絵本選びの相談にも乗ってくれるので安心です。
「絵本は読む時期、心理状況によって捉え方が変わるもの。大人になっても読んでほしい」
正午~午後7時 不定休(営業日は確認) Ⓟなし