8月も後半に差し掛かりましたが、まだまだ厳しい残暑が続いています。そんな中、今回は2カ月ぶりにとちぎを見るシリーズとして「滝特集」。名瀑から秘境のスポットまで、県内七つの滝をご紹介。マイナスイオンたっぷり、目にも涼しい紙面をお届けします。
目次
滝に聞き入る 夏盛り
優しく美しく、まさに…
乙女の滝 那須塩原

森の中を進むと、優美な姿を現す滝は、幅約5㍍、落差約10数㍍。清流・沢名川にあり、美しく神秘的です。名前の由来には、地元の若い釣り人が滝の上に盲目の美しい乙女を見たという昔話や、滝の優しく美しい流れが乙女の髪のように見えるなど、幾つかの説があります。
滝のすぐそばにあるカフェ「CHAI&TEAタムタム」のオーナー田村義夫さん(61)は、春夏秋冬の中で「夏の滝はいいですよ。特に、晴れた日の朝は木漏れ日と滝がとてもきれいです」と話します。


那須塩原市板室703。県道中塩原板室那須線沿いの乙女の滝駐車場から約60㍍
「信仰の山」のシンボル
庚申七滝 日光

古くから信仰の山としてあがめられ、特別天然記念物コウシンソウの群生地として知られる標高1892㍍の庚申山。その登山道の関東ふれあいの道の途中、一の鳥居の近くにあります。
七段の滝とも呼ばれ、同山に登って猿田彦神社に参詣する庚申山講の人々から山のシンボルとして愛されていました。一段一段表情を変えながら落ちるすがすがしい水の流れは、歩き疲れた心と体を軽やかにしてくれるよう。現在も、多くのハイカーに親しまれています。


日光市足尾町。国民宿舎「かじか荘」の先にある庚申山登山口駐車場から約3・9㌔。徒歩約1時間10分
観瀑台から… 全景20㍍
駒止の滝 那須

2段からなる滝は、幅約3㍍、落差が約20㍍あり、上下の滝つぼが爽やかなブルーの色合い。
緑豊かな山道から無料駐車場に車を停めたら滝はすぐそこ。約10年前、駐車場内に観瀑台が整備され、周囲の山とのコントラストを一望できるようになりました。写真を撮るときは、滝の正面ではなく、観瀑台の右側よりから撮影すると全景をきれいに収められます。
映画のロケ地で有名な北温泉が近くにあり、温泉に入った後、滝を見て涼むのもお薦め。秋には紅葉スポットとしても人気です。


那須町湯本。県道那須高原線のT字路から北温泉方面に進み、無料駐車場へ。約40台(大型車不可)。冬季は雪のため観瀑台は閉鎖
天気で変わる風景美
仁三郎(にさぶろう)の滝・雄飛(ゆうひ)の滝 那須塩原


塩原の鹿股川支流、スッカン沢と呼ばれる秘境。鉱物などの火山成分を含む沢の水は青白く輝き、「スッカンブルー」の呼び名で親しまれています。
雄飛駐車場から徒歩で片道約40分。沢沿いの遊歩道から二つの滝が見られます。沢と滝の流れる音が心地よく、「ふぅー」と深呼吸したくなります。
「雄飛の滝」は滝下から撮るのがお薦めです。晴れた日の午後は、木漏れ日と滝のコラボレーションを一枚に。山の天気は変わりやすいため、天気の変化に注意し安全に気を付けて。


那須塩原市塩原。八方道路沿いの雄飛駐車場から遊歩道を約40分。無料駐車場あり
パワースポット 滝行も
出流山満願寺 大悲の滝 栃木

奈良時代、勝道上人によって開山された名刹・出流山満願寺。本堂の右手から奥之院へと続く渓流沿いの参道を20分ほど歩くと、大悲の滝があります。高さ約8㍍。滝行ができるパワースポットとしても知られています。
2019年の台風19号による土砂災害の影響で中止されていた滝行は今年6月に再開。石がゴロゴロとした山道なので、行く時はサンダルでなく運動靴やスニーカーで。
門前には手打ちそば店が立ち並び、名物「出流そば」を求めて、多くの人が訪れます。


栃木市出流町288。東北自動車道栃木ICから車で約30分。無料駐車場あり。
奥之院の入山は午前9時~午後3時。300円、小学生以下200円。
〝流れる滝〟はまぼろしか
おしらじの滝 矢板

訪れる時間帯や日の差し込み方によって滝つぼの色も変化するそう
矢板市高原山の中腹に〝まぼろしの滝〟といわれるおしらじの滝があります。高さ約15㍍、普段はほとんど流れていません。台風の後など雨が多く降った後に滝を見ることができます。
滝つぼの水の色は青く、こけむした岩や木々の緑と調和し神秘的。「『しらじ』とは壺を意味するそうです。滝に行くまでの足元が滑りやすいので運動靴や登山靴、長靴を履いて見に来てください。山は涼しいですよ」と山の駅たかはら施設長の田代武彦さん。


矢板市下伊佐野。山の駅たかはらから県道56号を那須塩原方面へ約2㌔。駐車場から遊歩道を約10分下る、約10台。
(問)山の駅たかはら☎0287・43・1515。
奥日光の名瀑、豪快に
竜頭の滝 日光

長さ約210㍍、高低差約60㍍。男体山の噴火によってできた溶岩の上を豪快に流れ落ちる渓流瀑。華厳の滝、湯滝と共に奥日光三名瀑の一つに数えられています。
滝つぼ近くの二つに分かれた滝の流れを竜のひげに、中央の岩を頭部に見立てて「竜頭」と名付けられたといわれています。滝の正面に位置する茶屋の観瀑台が絶景ポイント。
遊歩道も整備され、夏場は涼を取りながら散策を楽しむことができます。滝上から茶屋のある滝つぼまで、徒歩約10分。


日光市中宮祠。JR日光駅または東武日光駅から湯元温泉行バスで「竜頭の滝」バス停下車、徒歩2分