伝統の技~手仕事に触れて
伝統工芸から手仕事、特産品まで、国内外で高い評価を受けている「メードインとちぎ」の技術。今回は伝統の技や作品に親しみながら、市民でもその魅力を気軽に体感できる手作りキットを紹介します。夢中になって制作した後はぜひ愛用を。
木で〝描く〟繊細模様
鹿沼組子

くぎを一切使わず、細かい木材のパーツを手作業ではめ込み、繊細な模様を生み出していく。「木工のまち鹿沼」が誇る伝統工芸「鹿沼組子」は江戸時代、日光東照宮造営の際に全国から集まった木工職人が伝えたのが始まりとされています。
鹿沼組子職人、吉原木芸代表取締役の吉原幸二さん(75)は「鹿沼の名匠」、県伝統工芸士に認定されており、制作したついたてはローマ法王にも贈呈されました。現在は一家5人で制作し、3人の息子たちも鹿沼の名匠として伝統を受け継いでいます。
木材は乾燥させた鹿沼の杉、木曽ヒノキなどを使用。模様は鹿沼の特産「麻の葉」をはじめ、200種類以上あるとされています。木の色の違いで模様を描くことも。吉原さんは「職人はいつでも挑戦」と話します。


鹿沼組子キット
吉原木芸 鹿沼
多彩な模様で基本も

鹿沼の伝統工芸「鹿沼組子」の基本的な仕組みが分かり、子どもから大人まで楽しく制作できる「鹿沼組子キット」。模様の種類は、「麻の葉」「七宝」「胡麻殻」など。いずれも2000円。要電話予約。

鹿沼市仁神堂51の1
☎0289・65・4600
午前8時半~午後5時
土・日曜、祝日休
奈良時代から続く手すき継承
烏山和紙
烏山和紙の歴史は約1300年前の奈良時代にまでさかのぼります。重要無形文化財に指定されている「山あげ祭」の舞台背景にも使われています。
福田製紙所の福田博子さん(53)は「この地域は、丈夫で軽い烏山和紙作りに欠かせない原料の那須楮(なすこうぞ)の栽培に適しています」と話します。最盛期の明治時代には、農家の冬の副業として900人近くが生産に携わっていたそう。
現在残る唯一の工房「和紙の里」では2人の職人が「手すき」による製紙技術を継承し、一年を通じて和紙を生産しています。

烏山和紙灯かり制作キット
烏山クラフト館 那須烏山
優しい明かり アレンジも
「烏山和紙灯(あ)かり制作キット」(3000円)は説明書やDVD付きで、間接照明として和紙の柔らかな明かりを楽しめます。
完成品に絵を描いたり、和紙を2枚重ねる工程で模様になる「もみじの葉」を挟んだりするなど、アレンジも思いのまま。出来上がりサイズは高さ約17㌢、幅約10㌢。


那須烏山市中央2の6の8
☎︎0287・84・2959
午前10時~午後6時
火曜休 Ⓟあり
大谷石細工
OYA STONE CRAFT KIT
(カエル・メモクリップ)
ベルテラシェ大谷 物産館 宇都宮
好みに色付けや装飾を
体験館で人気の大谷石クラフトが、家でも気軽に楽しめる2種類のキット。
「カエルキット」(1500円)は、「無事カエル」縁起物として親しまれるカエルの置物に彩色し、オリジナルの作品を完成させます。「メモクリップキット」(1320円)は、大谷石に石やガラスのビーズを貼ってデコレーションを楽しんで。


宇都宮市大谷町1263の2
☎028・652・3100
午前9時~午後5時半
第2火曜休(3~10月。11~2月は毎週火曜休)
竹工芸
カタツムリの ブランコ 2匹
竹工房せきね
益子
材質感生かし愛らしく
昆虫などの竹工芸品と木工品、山椒(さんしょう)の木のすりこぎ棒の制作・販売をする工房の人気キット。竹のカタツムリと木工の遊具を組み合わせた「カタツムリのブランコ 2匹」(1500円から)は、ブランコに揺れるカタツムリが何ともチャーミング。
「指を動かして自分で作る楽しさを味わってほしい」と話す代表の関根理夫さん(67)。キットは20種類(500円から)。道の駅ましこ、各地クラフト展でも販売。

益子町七井1162の2
☎0285・72・4434
午前9時~午後7時
不定休(来訪時には事前に電話連絡を)
Ⓟあり