アスポが体験「大人のマナー」
目指すは美しい所作…
ステキ女子
今年も残すところ、あと半月となりました。これからクリスマス、年越し、お正月と、大切な人と集う機会が増える時季。今回はそんな年末年始に必見! 知っておきたい大人マナーを紹介します。アスポリポーターも、取材しながらマナーについて学んできました。


アンヴェールの檜山さんに聞く
心構え
幅広い年代・職業の人たちに向けた各種マナー教室や企業研修などを行う「アンヴェール」(真岡市)の代表取締役の檜山美千代さん(39)に、マナーの心構えについて聞きました。
相手を一番に 愛と思いやりで
マナーとは他者への「愛と思いやりの心」を体現したもの。人への敬意を表す礼儀と、ものへの敬意を表す作法を合わせたものを礼儀作法と言います。マナーも礼儀作法も、目の前の人やものを大切にしたいという人の愛や思い、優しさからできています。
マナーとは〝良い人間関係づくりの第一歩〟とも言われます。そこで、マナーの心構えとして持っていただきたいことは「You First」。まずは相手を一番に。目の前の人や周りの人が自分の行為をどう感じるか、どうしたら喜んでくれるかなど、相手の気持ちになって想像することです。
訪問の際、自分が招きたくなるお客さまの姿を想像すれば、必然的にその姿が見えてくるもの。たとえ自分の立ち居振る舞いに自信が持てなくても、マナーの原点である愛と思いやりの温かみが相手に伝わることで、素晴らしい一つのご縁につながります。
ぜひ「これってマナー違反?」と○×で判断せず、「そこに人やものへの愛と思いやりがあるか否か」を判断基準にしてください。

檜山美千代(ひやま・みちよ) 都内の大学を卒業後、製薬会社などで役員秘書を務めた後、医療法人で医師やスタッフへの理念研修や接遇マナー研修を担当。2022年から企業などの社員研修や個人を対象に各種マナーのレッスン・コンサルタント業務の傍ら、県内と都内のビジネス系専門学校にてマナー講師として活躍。文部科学省後援秘書技能検定1級、ICBI認定ビジネスマナー、エレガンスマナー、接遇マナーインストラクター。
大人の作法&マナー講座
アンヴェールの檜山さんに聞く
訪問編
年末年始のごあいさつなど、大人の作法として心得ておきたい訪問時のマナー。アンヴェールの檜山さんに教えてもらいました。
1 コートなどを脱ぐタイミング
「インターホンを押す前」です。訪問先の家にほこりなど汚れたものを持ち込まないように。外でコートを脱ぎ、裏地を表にして半分に畳み、バッグを持つ方の腕に掛けます。帽子や手袋、マフラーなどはコートと一緒にそろえるか、訪問先に忘れないようにバッグに入れてもOK。玄関先ですぐ帰る時はコートを着たままでも。

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帰りに着るのは
玄関を出てから
2 あいさつ
ポイントは、「訪問する」ではなく、「訪問させていただく」という意識が大切。年末の多忙な中、貴重な時間をいただくという相手への感謝の気持ちと敬意を忘れずに。「今日はお忙しい中お時間をいただきましてありがとうございます」など、その気持ちをきちんと言葉で伝えましょう。
NGワード 「どうも」
ごく親しい人との気軽なあいさつ。「どうもありがとうございます」「どうもごちそうさまでした」など、語尾までしっかりと付けることが大切です。
※正式なあいさつは家に通された後、お土産を渡す際にさらに丁寧に。
3 靴の脱ぎ方(上がり方)
正面を向いたまま靴を脱ぎます。その際、両脚をそろえて。前に立つ家人にお尻を向けないように、斜めにかがみ膝をついて靴をそろえます。180度靴の向きを変え、下座側(シューズボックス側)の端に寄せます。

4 手土産の渡し方
部屋に通されてあいさつの後、椅子や座布団に腰かける前です。
紙袋や風呂敷を取り、包みの正面を相手に向けて胸よりも高い位置で渡します(紙袋や風呂敷は運ぶための手段)。「つまらないものですが」と謙遜するのではなく、「わが家の近くのおいしい和菓子です。ご家族の皆さんと召し上がってください」とポジティブな言葉を添えるとよいでしょう。

NGワード 「つまらないものですが」
◆お年玉を贈る際のマナー
☆ポチ袋に入れる
きちんと「○○くんへ、○○ちゃんへ」の宛名と自分の名前を記載します。
☆新札や新硬貨を入れる
新年を迎えられたことへのお祝いの気持ちを表すためです。
☆金額の相場
一番大切なのは、相手側の負担にならないようにすることです。世代や関係性によって差が生じますが、「親戚の子ども」に贈る場合の目安は、未就学児1000円未満、小学生低学年1000円、小学生高学年3000円、中学・高校生5000円、大学生1万円です。
5 座る場所
基本は案内された位置に座ります。案内がない場合には下座へ。
下座と上座
下座は出入り口から近い場所。上座は出入り口から遠い席。その家の家人や年長者が上座へ。洋室の場合は、暖炉や飾り棚の前。和室なら仏壇、床の間、床脇棚の前。
NG

テーブルの上にお土産や贈答品以外の自分の手荷物を置かない。ついやりがちな携帯電話もNGです。
6 滞在時間
相手やご家族の都合を配慮する
先様の貴重な時間(特に年末は多忙と心得て)をいただくという敬意を表し、訪問する場合には前もって連絡をしアポイントメントを取ります。その際、おおよその訪問の目的と滞在時間を伝えます。
実際に訪問する時間は、迎える準備をしてくれている相手を配慮して5分ほど遅れて伺いましょう。滞在時間は30分~1時間が目安です。
7 スリッパの脱ぎ方
玄関を向いたままスリッパを脱ぎます。家人の方に向き直り、スリッパの向きを変えて上座側の隅に置きます。「スリッパありがとうございました」とひと言声をかけるとスマートです。

☆プラス帰り際に
訪問への感謝の言葉を。
「お礼+感情+次回への抱負」
「本日はお忙しい中、お時間を頂きましてありがとうございました。ゆっくりとお話しできてうれしかったです。心温まるおもてなしもありがとうございました。次回はぜひわが家にも遊びに来てください!」
次につながる言葉を心掛けると、さらに良いご縁につながります。
(問)アンヴェールhttps://unveil0511.net/
大人の作法&マナー講座
ホテル東日本宇都宮の
菊地さんと小住さんに聞く
食事編
会食の機会が増える年末年始。久しぶりの少し改まった席でもストレスなく食事を楽しみたいもの。そこで、おさらいしておきたい食事の基本マナーをホテル東日本宇都宮接客部レストラン課主任の菊地理穂さん(和食)と同課パルテール・香味亭・ビッグベン責任者の小住剛太郎さん(洋食・中華)に聞きました。
和食マナー
おしぼりの使い方
おしぼりは手を拭くもの。顔や首などを拭くことは控えましょう。テーブルを拭くこともお勧めできません。何かをこぼした時などは、あらかじめ用意しておいた懐紙を使うか、店の人を呼んで拭いてもらいましょう。

NG
テーブルを拭くのは控えましょう

和食器の取り扱い方
平皿・大鉢以外は持つ
天ぷらや刺し身などを盛る平皿や大鉢以外の器は手に持って構いません。酢の物など、汁気の多い小鉢の場合は、器を手に持ち、口の近くまでもっていっていただきます。汁が垂れるのを気にして、手を皿のように添えるのは好ましくありません。失礼かと思われがちですが、もずくなどが入っている場合、ズルズルと音を出しても構いません。最後に残った汁は口につけて飲んでもいいです。

NG
手を皿のように添えるのはやめましょう

洋食マナー
ナイフ、フォーク、スプーンの使い方
ナイフとフォークは対になっているもので、外側から並べてある順に使います。ただしスープスプーンは対ではないのでナイフの並ぶ右側に置かれることがあります。


ワイングラスの持ち方
ワイングラスは柄の部分を持つのが良いでしょう。飲み物を注がれる時は、グラスはテーブルに置いたままで。乾杯をする時は、グラス同士を合わせず、軽く持ち上げてほほ笑みながらアイコンタクトを。

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乾杯では、ワイングラスを合わせない

ナプキンの使い方
ナプキンの扱いをそつなく
ナプキンは二つ折りにし、輪の方を手前にして膝の上に置くのが一般的。ただし食事中はナプキンの内側で口元を拭くため、二つ折りにした端の方が手前にある方が、使いやすくてお勧め。飲み物を飲む時は、必ずナプキンで口元を拭いてから。グラスに汚れが付くと周囲のお客さまに失礼になります。
食事中の中座は、できるだけ避けたいところですが、やむを得ず中座する場合は、サービス員に対しての合図として、椅子の上にナプキンを畳んで置く、または椅子の背もたれに垂らしておくという方法があります。そのまま帰る場合は、軽く畳んでテーブルの上に置きます。きれいに畳んでしまうと「二度と来ない」という不満を表すことになるので注意が必要。



中国料理のマナー
ターンテーブルの回し方
基本右回り 自分で取る
基本的には上席の方から時計回りですが、どちらに回してもマナー違反ではありません。自分のすぐ左先に料理がある場合、わざわざ一周させる必要はありません。ターンテーブルは共用のスペースなので、お酒の瓶や個人の物を置くことはやめましょう。
料理の取り方
大皿から自分で取り分けるのが原則です。取り皿は手に持つのではなく、大皿の近くに取り皿を置き、右手にスプーン、左手にフォークを持って両手で取るのがお勧め。

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個人の皿や飲み物をターンテーブルに置く
(問)ホテル東日本宇都宮☎︎028・643・5555。