県内レトロ探訪
令和に入り、気がつけば2時代前となった昭和の時代。ここ数年、レトロな雰囲気が受け、若者を中心に昭和ブームが到来しています。今週は、昭和を色濃く感じる〝観光遺産〟と言うべきスポットなどを紹介します。ノスタルジーに浸りながら、今よりちょっと不便、でも愛すべき昭和を楽しんでください。
思い出の「昭和」へ

よみがえる「あの日…」
■旧須賀川小 大田原
県道13号線沿いにある旧須賀川小。青空の下、1955(昭和30)年に建築された2階建ての木造校舎がくっきりと輪郭を表します。2006年に廃校となりましたが、木製の窓枠など当時の姿はそのまま。現在は映画やドラマの撮影や新茶まつり、新そばまつりなど地域のイベントで利用されています。
管理、維持しているのは旧須賀川小学校保存会。週2回の窓開け、月2回の清掃、年3回の大掃除、庭木の手入れなどをしています。卒業生で、会長の内田荘二さん(82)は「これからも仲間と協力し、木造校舎を残していきます」と話します。

外観は自由に見られますが、人が在駐していないので校舎内は見学不可
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大田原市須賀川1740の1
(問)市商工観光課☎0287・23・3145
ワクワク感に応える
■きらく とんかつ・ステーキ・しゃぶしゃぶ・すき焼き専門店 宇都宮

1955(昭和30)年に食堂として開業。10年後にとんかつ専門店となり、ステーキが登場した73年ごろに「お子様ランチ」の提供も始めました。 赤いオープンカーのプレートにハンバーグ、カニコロ、ポテト、おにぎり、フルーツがのった「お子様ランチ」(770円)。オレンジジュースまたはシャーベット、おもちゃ付き。小学生以下の限定メニューです。
特別感が漂う赤い車のお子様ランチにわくわくする気持ちは昭和の子どもたちも現代の子どもたちも変わりはないようです。常務の坂本真一さん(55)は「車のランチプレートはレトロな雰囲気もありますが、子どもにとても喜んでもらえるので、大切に使い続けたい」と話します。
☎028・634・6588
午前11時~午後2時15分ラストオーダー(LO)、午後5~9時(LO)
火曜休
40年間「そのまんま」
■鑁阿寺境内の売店「ひこまや」 足利

鑁阿(ばんな)寺の西門と本堂の間に立つ、およそ75年続く小さな売店。店先には「ハトマメ」や「こいのえさ」、子どものおもちゃが並びます。「いもふらい」や「やきそば」などの軽食、夏は「かき氷」、冬は「おでん」が人気です。
4代目店主の長島紀子さん(72)と、元板前で夜は同寺近くで居酒屋を営む夫の勝さん(69)が、夫婦で切り盛りしています。
40年前、結婚を機に売店の仕事を始めたという勝さん。「店は当時とほとんど変わっていない。値上げも1回しただけ」と話します。会計がしやすいよう軽食の値段はほぼ400円で統一。紀子さんは「難しいことは考えない」と笑顔できっぱり言い切ります。

足利市家富町2220
午前10時半~午後5時
※日によって午前11時~午後3時
月曜休
電話なし
入園料なし
Ⓟ観光駐車場あり
市民の憩いの場 今も
■千手山公園 鹿沼

1948(昭和23)年、市制施行の記念事業として整備。鹿沼の街を見渡せる高台に位置し、週末を中心に家族連れでにぎわいます。2万7372平方㍍の敷地内にサクラ約300本、ツツジ約1000本があり、春には見事な景観が見られます。
昭和にタイムスリップしたかのような園内では童謡が流れ、観覧車、おとぎ電車、ジェットスター、自動木馬が楽しめます。観覧車は4人乗りのゴンドラが10個。赤いゴンドラは車椅子にも対応。街が一望でき、天気が良ければ男体山なども見えます。乗り物は1人1回50円と、料金も〝昭和価格〟。2歳まで無料。季節を感じられ散策も楽しめる市民の憩いの場です。


鹿沼市千手町2610
同公園管理事務所
☎0289・65・0778
午前10時~午後4時
(12~2月は午後3時半まで、遊具運転時間)
月曜休(祝日は営業、翌日休)、年末年始
入園料無料
Ⓟ80台
物も雰囲気も大切に
■玉川の湯(金魚湯) 栃木

〝昭和の銭湯〟を思わせる外観。創業は1889(明治22)年ですが、1953年ごろに建て替えた銭湯内は、まさにタイムスリップしたよう。さらに、男・女湯のタイルの壁には水槽がはめ込まれ、元気に泳ぐ金魚が。「金魚湯」の愛称で親しまれているゆえんです。
今では珍しいまき炊きの湯は、滅菌した井戸水を使用。4代目の内木晴樹さん(46)が、妻の祖父から受け継ぐこだわりの湯を守っています。薬湯と15種類ほどある日替わりの湯があり、この日は鮮やかな黄色の「パインアメ湯」。
内木さんは「この雰囲気とおじいちゃんの代からある物を大切にしたい」と話します。


栃木市室町3の14
☎0282・22・1865
午後2~10時半
中学生以上400円、小学生150円、乳幼児80円
水曜休
Ⓟ15台
〝推し〟は世代を超え
■昭和歌謡レトロスナック アイドル 宇都宮

昭和の人気アイドル、松田聖子が大好きなママ板橋さないさん(56)が2017年にオープン。ミラーボールの下でマイクを手にすれば、昭和世代を熱狂させたアイドルたちがよみがえってきます。
それでも、客のメーンは20代前半といい、若者たちのホットなスポットに。料金は2時間歌い放題、飲み放題5000円。空いている早い時間が狙い目です。
店を目当てに、函館など県外から訪れる客も珍しくありません。「この間は聖子ちゃんファンの女の子が静岡から来てくれたの」とうれしそうに話すママ。大好きだったアイドルに思いをはせ、きらびやかな空間で熱唱してみては。


宇都宮市池上町2の7 2階
☎028・678・5565
午後7時~午前0時
日曜休
Ⓟなし
茂木
もてぎ昭和館
本物でリアルに再現


元鮮魚店を活用して今年3月にオープンした〝リアル昭和〟なスポット。昭和の時代まで専売公社があり、たばこ産業で栄えた町の歴史と時代を彩った懐かしいものたちに出合えます。
昭和中期(約30~40年代)をイメージし、たばこ屋や自転車屋、お茶の間を再現しています。年代別に並ぶたばこやホーロー看板、当時高級品だったテレビ、扇風機など、町民や県内外から譲り受けた1000点以上の展示品はすべて使われていたもの。
店主の小野高義さん(65)は「たばこや町にゆかりのある『青い山脈』の映画ポスターなど、みんな歴史がある。それを見てほしい」と来場を歓迎しています。







実際に使われていたものだからこそ漂う昭和の世界観!
若い人たちにとって〝エモい〟スポットとして人気
茂木町茂木1659の2
☎0285・63・5644
(町商工観光課)
開館は土・日曜、祝日午前11時~午後3時
※10月中旬以降変更あり。詳しくはゆずもXで
入館無料
Ⓟ同館南側(3台程度)、茂木駅、ふみの森を利用