遺構は語る

戦後80年。戦争体験者の多くが鬼籍に入り、戦禍の記憶は薄れつつあるが、人知れず立つ碑やひっそりと残る跡が、あの大戦を後世につないでいる。県内各地の痕跡を随時紹介する。
 

 

県都の象徴 空襲で枯死

姿変え 平和な世見守る

 宇都宮市塙田2丁目の浄鏡寺(じょうきょうじ)。中心市街地に位置する古刹(こさつ)に、戦災の記憶を伝える木彫りの仏像が安置されている。「宇都宮空襲で焼け焦げ、伐採された旧市役所の大ケヤキで作られた仏様です」。鱒渕泰宏(ますぶちたいこう)住職(55)はそう説明する。