リオから新しい自分が始まった

2016年、ブラジルで行われたリオ五輪は高藤の柔道人生を大きく変えたと言っても過言ではない。リオ五輪の代表決定後の記者会見で「常に五輪で金メダルを取りたいと考えていた」とコメントするなど、並々ならぬ決意で臨んだ大会だった。抜群のスピードから繰り出す多彩な技で相手を圧倒した。準々決勝でも途中まで主導権を握っていたが、一瞬の隙を突かれ逆転負けを喫した。敗者復活戦、3位決定戦では意地を見せ、銅メダルを獲得した。
—2016年のリオ五輪での経験が柔道人生の大きな転機とのことでした。どういう点が変化しましたか。
試合に対しての臨み方であったり、考え方も変わりましたね。勝つためには攻めなきゃとずっと思っていたんですけど、リオでは攻めにいこうとしすぎて負けてしまったので。守りが大切なんだなと思いました。去年、世界選手権で優勝してから、今年の世界選手権までにその気持ちはすごく大きくなりました。リオから新しい自分が始まったなと考えています。
—東京五輪まであと1年足らずです。どのように調整していきますか。
普段通りですね。変わったことはせず、いつも通りやっていつも通りに帰ってくるだけす。何も変えずに臨みたいです。
—栃木県のファンにメッセージをお願いします。

メッセージっていつもですね(笑)。難しいですね。まずは東京オリンピックというところから考えると、いつも柔道の世界選手権はなかなか見てもらえていませんが、オリンピックは本当に多くの人が見てくれます。来年(2019年)は東京での柔道世界選手権があります。会場に来られなくてもぜひテレビで見てほしいですね。世界選手権で情報を植え付けてもらって、オリンピックで柔道をさらに深く楽しんで見てほしいです。そういうかたちで見てもらえるととてもうれしいです。大人が見ると、自然と子どもも見ます。一緒に楽しんで見てもらって、「柔道っていいな」と思ったら柔道をやってもらいたいです。そのためには僕が勝っていくことが絶対必要だと思います。勝てるように頑張るのでぜひ見てほしいです。
—最後に東京五輪に向けた意気込みをお願いします。
リオで取れなかった金メダルを絶対に取ってきます。栃木県民の誇りを胸に戦ってきます。ぜひ会場で応援よろしくお願いします。
高藤直寿 たかとう なおひさ
1993年5月30日生まれ。下野市出身。東海大卒。階級は60kg級。野木町柔道クラブから東海大相模中、同高を経て東海大に進学。2013年のリオデジャネイロ世界柔道選手権で金メダル。16年のリオデジャネイロ五輪で銅メダル。18年のバクー世界柔道選手権で優勝し、連覇を果たした。
(この記事はSPRIDE[スプライド] vol.28に掲載)