
栃木労働局は30日、来年3月に卒業見込みの県内高校生の7月末時点での求人・求職状況を発表した。求人倍率は前年同期を0・51ポイント上回る2・31倍で、統計比較が可能な1998年以降で最高となった。新型コロナウイルス禍の打撃を受けた事業者の求人が回復した一方、進学の増加などで求職者数が減ったことが要因。
求人倍率のこれまでの同時期の最高は2019年7月末時点の1・99倍で、2倍を超えるのは今回が初めて。同局の藤浪竜哉(ふじなみたつや)局長は「これまでにない高い水準で、高校生にとっては選択の幅が広がる」と述べた。
求人数は前年同期比14・9%増の7091人で、2年連続で増加した。これに対し、求職者数は10・7%減の3068人で4年連続の減少となった。大学などへの進学希望者が増加している中、コロナ禍でその傾向がさらに強まり、インターンシップの中止などで職業体験も十分にできなかったことなどが要因という。
求人数を産業別に見ると、「運輸業、郵便業」、「医療、福祉」を除く全ての産業で増加した。伸び率が大きかったのは「サービス業」で28・9%の増加。続いて「宿泊業、飲食サービス業」22・1%増、「製造業」21・9%増と続いた。いずれもコロナ禍からの回復が影響しているとみられる。
事業所の規模別では、従業員数29人以下が18・5%増と最も伸びた。100~299人が17・4%増、30~99人が16・2%増と中小企業の伸びが目立った。一方、千人以上も9・2%増えた。
今春卒業した高校生の3月末時点の内定率は99・6%だった。藤浪局長は本年度の見通しについて「昨年度と同様、順調に進んでいく」との見方を示した。