気になる話題をアンケートで掘り下げる「子育てリサーチ」。政府が「出産一時金」について現行の42万円から50万円への増額を検討しているのを受け、出産費用について無料通信アプリLINEの「はぐくもっと」登録者などに聞いた。出産時に多額の出費があった経験から一時金増額には肯定的な意見が多かった一方、産後も切れ目ない子育て支援を施してほしいとの声が挙がった。

 

 アンケートは1月中旬に実施し、20~50代の男女56人が回答した。妊娠してから出産までの「出産一時金」や「妊産婦医療費助成」といった公的補助を除いた出産費用について尋ねたところ、9割が公的補助では足りなかったと答えた。実際に自己負担した金額は10~15万円が25%、20万円以上が23%、5~10万円が22%と続いた。金銭的な負担は大きかったようだ。

 切迫早産などで長期間の入院を余儀なくされた人や、多胎児で健診の回数が増えた人、出産時に追加料金がかかった人もいた。現状の公的補助だけでは出産費用を支払うのが難しい状況がうかがえた。

 

 出産一時金増額に関しては賛成が70%、どちらとも言えないが25%、反対が5%。増額には一定の支持が得られている。一方で、「病院の出産費用が値上げされるだろうから実質負担額は変わらない」「子育て中もお金がかかるので少子化対策にはつながらない」といった意見が目立ち、児童手当の増額や医療費補助といった子育て支援の拡充を求めていた。

出産予定日が3月末なので、出産一時金増額が間に合いません。(那須塩原市、40代女性)

 多胎児に対しての対応が少ない。多胎児は検診の回数も多いのに、妊婦は1人だから1人分の補助しかなく、倍の持ち出しでした。なぜが母子手帳は二つでも補助は1人分って納得いかないことが多々ありました。(栃木市、40代女性)

 

 無痛分娩(ぶんべん)ができる総合病院を探して出産しましたが、結果的に麻酔が効かず10万円加算した普通分娩のようになって残念。無痛分娩も保険適用になっていち早く出産のスタンダードになってほしいです。(大田原市、40代女性)

 出産一時金が増額されても、産院が出産費用の値上げをするので実質負担額は変わらない。妊婦健診なども保険対象としてほしい。(宇都宮市、30代女性)

 2人目は個室で入院、お産が日をまたいで2日かかったため30万円プラスでかかりました。今はコロナもあり個室希望が多く、費用がさらにかかると思います。60万円くらいにしないと現状と変わらないと思います。(宇都宮市、30代女性)

 引き上げよりも、妊婦健診、出産費用を全額無料にした方が少子化対策にもなると思います。(宇都宮市、30代女性)

 出産一時金の増額は賛成だが、病院側も値上げしてしまったら全く意味がない。将来子どもを持ちたくてもかなりの金額がかかると思うと、このまま少子化傾向のままだと感じる。(宇都宮市、40代女性)

 出産費用よりも産んだ後の方がお金もかかる。小さければ小さいほどオムツやミルク代、服などいろいろとお金もかかる。私自身シングルマザーなので、出産費用よりも違う部分を手厚くしてほしい。(那須塩原市、30代女性)

 切迫流産、切迫早産で入院。出産まで約3か月、退院できませんでした。退院の手続きの時、約30万円を請求され病院内のATMに走りました。今思えば、出産一時金がなかったらと思うとゾッとします。(日光市、30代女性)

 出産する側としても可能な限り自己負担してでもできるだけ良い環境で産みたい気持ちがあるため、最終的な自己負担の額はそこまで変わらないことになるのでは。(県外、30代女性)

 ゆくゆくは増税につながってしまうのなら結局、経済的負担への心配は解消されないのでは。出産費用だけが問題で子どもが産みづらいんじゃないと思う。今でも安くない金額の出産費用がでているので国民に出産費用のきちんとした説明も必要だと思う。(宇都宮市、30代女性)

 費用の安い病院で出産できればいいですが、家の近くで産科のある病院は限られ料金で選ぶことはなかなか難しいと思います。(栃木市、30代女性)

 十分に教育費が準備できるか心配でなかなか次の妊活に踏み切れない。出産育児一時金の増額より児童手当の増額、給付型奨学金の拡充、子どもの扶養控除復活の方がありがたい。(栃木市、30代女性)

 一時金の増額はありがたいが、少子化対策に直結するとは思えない。多様な生き方の中で出産・育児も良いと思えるよう、「子持ち優遇」などの分断につながらない政策を講じてほしい。(宇都宮市、30代女性)

 帝王切開手術だったので、医療費となり、出産一時金の額以下となりました。助かったなと思いますが、通常分娩の方は費用がかかってしまうのは複雑だなと思います。(宇都宮市、40代女性)

 出産しかお金がかからないわけではなく、子育てそのものにお金がかかります。医療費や保育料だけでは子どもは成長しません。節目のお金も生活費もかかります。物価高騰に伴う支援をお願いしたいです。(宇都宮市、30代女性)

 切迫早産で入院していたため、出産退院するまで1人で2人分ぐらいの出産費用がかかった。(宇都宮市、40代女性)

 退院後のお迎えの都合がつかずに1日退院を延ばしてもらいましたが、その1日で結構な額になってしまいビックリした記憶があります。出産した病院は実家と自宅の中間地点の場所だったため、実家も稲刈りの真っただ中、夫はローテーション勤務の最中に上の子のお世話と頼れる先が少なくお金で解決しました。(大田原市、30代女性)

 去年出産した際に、自然分娩でプラス料金になることはトイレ付きの部屋にしたくらいでしたが、出産一時金のほかに18万円かかりました。今年から増額されることは賛成ですが、さらに産院の方でも出産費用自体が増額となると聞いたため、市民の負担になると思っています。(宇都宮市、30代女性)

 病院にかかる費用が値上げする可能性もあるので一律無料でいいと思います。(栃木市、30代女性)

 病院によって金額が違うのが知らなかった。出産後忙しいのに手続きが面倒。(宇都宮市、40代女性)

 産後歩けなくなって入院が延び、その費用は自分が負担しました。保険は適用されましたが、かなりの額でした。(宇都宮市、30代女性)