世界バレーは全然満足していない

アジア大会ではタイ、中国などに敗れメダルなしと思いもかけない結果に終わる。結果を求められて臨んだ世界バレー。世界の強豪24チームが出場し3週間にもわたる長丁場。勝ち進むと1~3次ラウンドを戦い、その上で6チームが決勝ラウンド進出という厳しい戦い。黒後は初戦からスタメンで出場し存在感を示したが、試合が進むにつれ世界の壁に阻まれ、サーブレシーブでも狙われるなど苦戦した。日本は6位に終わり黒後自身も課題が残った大会となった。

 

――世界バレーはそれまでの二つの大会と違って特別でしたか。

 そうですね。世界バレーは期間も長くて、チームの数も多いので勝ち抜くことがすごく厳しい大会ということはチームの誰もが分かっていたので、チーム全員で戦う覚悟を一人一人が持って臨んだ大会でした。

 たくさんの方と話をさせていただいて、どれだけ多くの人がこの大会に関わっているとか、どんな人の想いがこの大会にかかっているのかとかを聞く機会がたくさんあったので、自分たちだけが戦っている訳ではないということをすごく感じた大会でした。

 対戦国の選手もギアを切り替えて、かけてくる思いとかがあったと思います。そういう思いの募ったプレーを感じました。目の色だったり、プレーもそうなんですけど、1点を取った後の吠えている姿とか、これが世界バレーなんだっていう重み、違いを感じました。

――初戦のアルゼンチン戦にスタメンでコートに立ち、バックアタックなども決めてストレート勝ちに貢献しました。1次リーグでは日本代表の中で、トップの得点を記録しました。

 スタメンは前日に言われましたが、緊張はしなかったです。初戦はしっかり勝ってその後につなげたいという思いでした。出たからには自分の役割をしっかり果たしたいという気持ちでいっぱいで、とにかく一つ一つのプレーをすることで1点1点につながって勝てればいいと思っていました。

――大会の後半は途中交代するケースもありました。

 コートに立ちたい思いはありますが、自分が何もできていなかったので。代えられても、コートの外でもチームのためにできる事はたくさんあると思っていました。自分が出ているときにはコートの外でチームのためにフォローしてくれている先輩方がたくさんいるので、自分もコートの中にいても外にいても、今、チームのために何をするのがベストなのかということを考えていました。

――世界バレーを終えてみて、自分のプレーについては。

 全然満足していません。自分で納得したプレーはありません。一番印象に残っているのは3次ラウンドのセルビア戦です。今までセルビア戦では納得できるプレーができたことがなくて。ネーションズリーグでの悔しい思いも結構自分の中で残ってましたし、今回の優勝もセルビアで、そういったチームに対して点を取る、自分の役割を果たすことができなかった。すごく悔しくて、心に残っています。

 

――同じポジションの古賀紗理那選手、石井優希選手のプレーはどうですか。 

 ほんとに紗理那さんと優希さんはすごいです。何というか1点を取るのにも工夫をしていて、攻撃面もそうですがディフェンスの面でも、「何でこんなプレーができるのだろう」というプレーを見せられました。自分もあの場面でこういうプレーをしたいと思うようなプレーをするんです。技術では勝てないんで、気持ちで勝負しよう(笑)と思ってます。気持ちしかないので(笑)。

――黒後選手にとって中田監督はどんな存在?

 難しいな…。すごく選手に考えさせてくれるけど、しっかり支えてくれて。そうですね、自分が苦しい時に助けていただきましたし、細かいところまでプレーも見ていてくださって、小さな変化にも気付いていただきました。いろんな所に気を遣っていろんな言葉を掛けてくれます。ホントに選手側に立ってくれる監督です。

――セルビア対イタリアの決勝戦は見ましたか。

 はい、宇都宮の実家で家族とテレビで見てました。両チームの選手の気迫や迫力がすごくて、バレーを良く知らない人でも感じられるもの、伝わるものがあって誰が見ても面白いと思ってもらえる試合だったと思います、点を取った後のパフォーマンスやサーブを待っている時の表情など、そういう所でいろんなものが伝わってくる決勝戦でした。(同じ世代の)ディヤヌ・ボシュコビッチ選手(21)=セルビアやパラオ・エゴヌ選手(19)=イタリア=がプレーしていて、両チームに勝ちたいと思いました。

――ところで家族からは何か言われましたか。

 すごく応援してくれていたんですけど、世界バレーに出てたことが「変な感じ」「信じられない」と言ってました(笑)。

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