今宵、食卓が祭りになる
山の恵み、大地の恵み  料理の数々、にぎわうテーブル
食べて祝おう、感謝を込めて  余さず生かそう、明日のメニューに
…さあ、秋の食卓は「収穫祭」

秋の恵みが籠いっぱい。さあ、何を作ろう、誰と食べよう…。にぎやかな食卓が目に浮かびます
秋の恵みが籠いっぱい。さあ、何を作ろう、誰と食べよう…。にぎやかな食卓が目に浮かびます

秋の食卓は「収穫祭」!

料理研究家 髙橋洋子さんに聞く実りの秋レシピ紹介

 実りの秋。野菜や果樹などの恵み豊かな季節です。収穫の喜びを味わうレシピを、宇都宮市でハーブ&ポプリ教室「スイートミモザ」を主宰する料理研究家 髙橋洋子さんに聞きました。

食べて祝う

ミョウガずし (5~6人分)

彩りも豊かな食卓。にぎやかに秋の実りを満喫して、おなかも心も大満足。あぁ、充実の秋盛り
彩りも豊かな食卓。にぎやかに秋の実りを満喫して、おなかも心も大満足。あぁ、充実の秋盛り

 普段は薬味など脇役として使われることが多いミョウガ。そんなミョウガが主役に…。夏のイメージがありますが、秋ミョウガは今が旬。大ぶりのミョウガを使った「ミョウガずし」は香りと食感、彩りも良く、食欲が刺激されます。

 ❶生鮭(刺し身用)250㌘をそぎ切りにして、米酢50㍉㍑に塩小さじ1/3を溶かした液に2時間ほど漬けます。
 ❷米4合をといで炊きます。
 ❸炊き上がったご飯を飯台に移し、合わせ酢(米酢1/2カップ、きび砂糖大さじ4、塩小さじ1/2)を回しかけ、布巾をかけて1、2分おきましょう。
 ※1、2分おくことで、ご飯にしっかり味がつきます。
 ❹ミョウガ8~10個を縦に細切りにして塩小さじ1でもみ、塩を洗い流し水気を絞ります。③に加え、うちわなどであおぎながらしゃもじで切るようにして全体を混ぜ合わせます。白いりごま適量を振ります。
 ❺すし飯の上に①を並べ、お好みで千切りにした青ジソを散らすと香りが爽やかで、おかわり必至です。

秋野菜のトマト煮 (6人分)

秋野菜たっぷりのトマト煮
秋野菜たっぷりのトマト煮

 秋の食材として代表的なサツマイモやカボチャ、サトイモ、キノコ類を味わえる一皿。秋野菜をふんだんに使い、トマトで煮込んだ料理です。フランスのラタトゥイユやイタリアのカポナータのような家庭料理で、いろいろアレンジもできます。パンやご飯、パスタにも合いますので、大勢で、にぎやかに、いろいろな秋野菜の味を楽しんでください。
 
 ❶煮込み用の鍋にオリーブ油大さじ3とみじん切りのニンニク1かけを入れ、弱火で焦がさないように香りが立つまで炒めます。
 ❷1㌢角に切った、タマネギ300㌘、ニンジン150㌘を加えて中火でじっくり炒めます。
 ❸2㌢角に切ったナス3本、輪切りにし流水にさらしたサツマイモ200㌘、皮をむき輪切りにしたサトイモ200㌘を加えて混ぜ、シメジやマイタケ、シイタケなどお好みのキノコを加えて炒め合わせます。
 ※サツマイモを流水にさらすと、炒めた時に黒く変色しません。
 ❹トマト水煮缶(ホール)1缶とローリエ2枚を加えて混ぜ、イモ類がやわらかくなるまで中火で煮込みます。ケチャップ大さじ2、塩こしょうで味を調えてください。
 ※焦げ付かないように鍋底から混ぜ合わせましょう。

余さず生かす

すし酢でピクルス

 

 すし酢を使って手軽にピクルスを作ってみましょう。すし酢は、あらかじめ甘味やうま味も含まれている万能調味料です。すし酢をベースにピクルス液を作れば、簡単においしいピクルスができます。ピクルスは酸味がアクセントとなり、サンドイッチやタルタルソースなどの材料としても便利な食材。冷蔵庫で1カ月ほど保存が可能です。キュウリやミョウガ、セロリ、カリフラワーなどで作ってもおいしくいただけます。

 ❶ガラス、ホーローなど酸に強い耐熱容器に、1・5㌢角に切った赤・黄・オレンジのパプリカ各1/2個を入れます。
 ❷鍋にすし酢150㍉㍑、水250㍉㍑、ブラックペッパー(ホール)20粒、ローリエ1枚、洗って水気を拭き取った長さ10㌢くらいのローズマリーの枝1本を入れて火にかけます。煮立ったらローズマリーは取り出し①に注ぎます。
 ❸冷めたらふたをして冷蔵庫で一晩味をなじませましょう。

サルナシのジャム

 

 「サルナシのジャム」はバゲットと相性が良く、手軽にカナッペにしたりして楽しめます。飲み物はコーヒーより、酸味が紅茶に合うようです。ヨーグルトにトッピングすると酸味同士でおいしく、バニラアイスにもお薦めです。

 ❶サルナシ400㌘を洗って水気を拭き取り、両端のヘタを切り取ります。ミキサーにかけ、鍋に移し、レモン汁大さじ1とグラニュー糖280~300㌘を加えて混ぜ、30分ほど置いておきます。
 ❷鍋を中火にかけて、フツフツと煮立ってきたら弱火に。焦がさないように鍋底から混ぜながら煮詰めます。
 ❸熱いうちに煮沸消毒済みの容器に入れます。
 ❹冷めたら冷蔵庫に入れ保存します。1週間ほどで食べ切るようにします。
 【サルナシ】キウイと同じマタタビ科に属するつる性の落葉植物で、日本に自生する原種の一つです。熟すと甘酸っぱい味がして、皮をむかずにそのまま食べられます。ビタミンCがレモンの約10倍と栄養価が非常に高く、スーパーフードとして注目されています。

待ったかいがあったサルナシ うれしい初収穫

髙橋さんに聞く
 

ハーブが香る髙橋さんの自宅の庭の一角に、1本のサルナシの木があります。髙橋さんが育て、毎年待ち望んできた収穫の時が今年初めて訪れました。その喜びをうかがいました。

 最初は種のカタログでたまたま目にしたんです。20㌢ほどの苗木を買って植えたのが10年前。これまで花は咲いていたけれど実がなることはありませんでした。
 ところが、今年の初夏に今までよりもたくさん花が咲き、今年こそは実がなるかなあと思っていたら、いっぱい実がなったの。待ったかいがありましたよ。9月下旬に1㌔くらい収穫して追熟させました。
 ハーブや野菜、果樹などは育てただけでもうれしいけれど、ハーブティーにして飲んだり、料理やスイーツとして食べたりする〝後の楽しみ〟がありますね。保存すれば、それをもっと長く楽しめます。
 髙橋洋子さん 東京都出身。都内のレストランに勤務、結婚を機に宇都宮へ。料理研究家の助手を20年務め独立。ハーブ&ポプリ教室「スイートミモザ」を主宰。