今年も残すところあと1週間。振り返るとさまざまなことがあった2025年。皆さんにとっては、どんな一年だったでしょう。26年のえとは「午(うま)」。映画やテレビで見る馬はさっそうと駆け抜けていくイメージでしょうか。跳躍・疾駆する馬のように、新年が飛躍の年になることを願って…。
活躍する馬2026年も
人間社会との絆深め
人類の歴史を振り返るとき、馬がいかに人と深く結び付いてきたかを思わずにはいられません。農耕を助け、街道を行き交い、戦場を駆け抜け、競技場で歓声を浴びる。人間社会とのかかわりの中で活躍し続けてきた存在です。今、その姿を改めて見つめてみましょう。県内には、歴史と伝統を受け継ぎながら、観光、スポーツ、神事・祭礼において活躍する馬がいます。それぞれの役割を担い、持ち味を発揮して、私たちと共に生きる馬たちをご紹介します。
高く、速く
那須トレーニングファーム
馬術競技に出場する「キャンベラZ」
〝一体〟になり世界に挑む
人馬一体となって障害を軽やかに跳び越える「キャンベラZ」(雌、16歳、芦毛)…。華麗なパフォーマンスで観客を魅了する競技「馬術」で活躍しています。
那須トレーニングファームの代表取締役でシドニーオリンピック日本代表の広田龍馬(りゅうま)さん(49)は「オリンピックでは男女の性別に関係なく、同じステージで戦うことができる唯一の種目です」と話します。乗馬インストラクターで社会福祉士の妻の思乃さん(42)は、2019年ワールドカップで日本女子初のファイナル進出を遂げました。
競技者として夫婦共にパートナーの愛馬たちと築いてきた輝かしい戦績。さらに今年、国民スポーツ大会において息子の大和さん(国際医療福祉大2年)と合わせて親子3人で金銀銅メダルを手にしました。その時、龍馬さんと思乃さんが騎乗したのが、「キャンベラZ」です。
世界的権威とされるベルギーのザンガーシャイド牧場の血統を継ぐ名馬。龍馬さんは「とにかく美人で目が格好いい。気が強く、競技になるとF1カーのよう。まさにファイターです」と絶賛します。
現在、同ファームではサラブレッド、主に乗用馬などの中間種、日本古来の品種、ポニーなど10種類以上、50頭の馬を育成しています。馬1頭が1日に食べる餌は、麦やトウモロコシなど約10㌔。水は50㍑以上(夏場は100㍑)を飲むそうです。
競技の世界をまい進するだけでなく、10年前にオープンした県内初の市営乗馬施設「那須塩原市ホースガーデン」でのホースセラピーにも力を注ぎます。
龍馬さんと思乃さんは「馬のおかげで人生を豊かにしてもらっている。心、体の問題を解決してくれる馬の力は大きい。馬に触れ合える、幸せになれる人を一人でも増やしていきたい」と笑顔で話します。
神々しく
日光東照宮・御神馬
神様に仕える「光丸号・晃白号」
春と秋の例大祭で輝く
神様にお仕えする馬として神社に奉納され、神事の際に神様が乗る馬「御神馬(ごしんめ)」。現在、日光東照宮には2頭の御神馬がいます。2019年にニュージーランド国から献進された「光丸(こうまる)号」(雄、16歳)と、2023年に日本中央競馬会(JRA)の中山競馬場から奉納された「晃白(こうはく)号」(雄、11歳)です。春と秋に行われる例大祭の神輿渡御祭「百物揃千人武者行列」で、神聖な輝きを放ちます。
創建以来、御神馬は冬期間を除いて毎日、境内の神厩舎に通い神厩奉仕をします。古くから猿が馬の守り神とされてきたことから、神厩舎の長押(なげし)上には「見ざる・言わざる・聞かざる」の教えで有名な三猿の彫刻があります。
光丸号と晃白号について神馬担当の厩務員、藤井真司郎さんは「どちらも優しい性格。光丸の方がちょっといたずらっ子かな」と柔和な表情で話します。また、光丸号と晃白号は仲が良く、離れると共に寂しくなり鳴くことがあると言います。
全国でも御神馬のいる神社は珍しいと言う藤井さん。この秋「御神馬のお辞儀」を始めました。神厩奉仕を終えて境内の飼育場に帰る際に、東照大権現(徳川家康公)に向かって御神馬と藤井さんが一緒に一礼をしたところ、参拝客から感嘆のため息が漏れました。藤井さんは「御神馬が新たな存在として広く知られ、地域の宝になってほしい」と、午年の新年へ願いを込めます。御神馬は、3月末まで日光馬事センターで日中は放牧されています。
力強く
塩原温泉・トテ馬車
観光客を乗せ名所を巡る「蓮」
馬車馬だけどのんびり
那須塩原市の塩原温泉街に今年9月、名物「トテ馬車」が5年ぶりに復活。〝時速5㌔のジェントルマン〟「蓮」くんが闊歩(かっぽ)するひづめの音と、おなじみのラッパが響きました。
トテ馬車は、明治後期に同温泉街の交通の手段として始まりました。最盛期の昭和40年代には、7業者が観光用として26台を運行していました。
その後、コロナ禍などで姿を消すことに。しかしコロナが落ち着き観光客が訪れるようになると、復活を望む声が多く上がるようになりました。そこで、那須塩原市観光局が観光庁の「地域観光魅力向上事業」の補助金を活用し、期間限定での運行が実現しました。
馬車を引いた那須千本松牧場の蓮くんは雄の青毛、15歳。人間なら60歳くらいだといいます。スピードはありませんが、力仕事をこなす重種の代表的な「ペルシュロン」と呼ばれる種の血が流れています。
体高165㌢、体重は約700㌔。太くたくましい胴と脚は、まさに力強さとたくましさを表します。蓮くんを育ててきた同牧場乗馬倶楽部の駒津俊美さん(77)は「おとなしくて扱いやすい子。ここまで性格がいいのは珍しいよ」とべた褒めです。
同観光局の猪瀬隆弘さん(41)は「年内で運行はいったん終了しますが、蓮くんのおかげでたくさんのお客さんがトテ馬車に乗り、楽しんでくれました。蓮くん、お疲れさまでした」とねぎらいます。










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