春を迎えて、自然の中での遊びを楽しみたいという人もいるだろう。気になる話題をアンケートで掘り下げる「子育てリサーチ」では今回、とちぎ子ども自然体験活動ネットワークと連携して「親子の自然体験・自然の中での遊び」について無料通信アプリLINEの「はぐくもっと」登録者などに聞いた。日常とは異なる体験ができ、自然との触れ合い方を学ぶ場と捉え、その機会を増やしたいと考える人が多かった。

アンケートは2月上旬~中旬に実施。20~60代男女153人が回答した。このうち小学生までの子どもがいるのは146人だった。親子で経験したことがある自然体験について複数回答でうかがうと、生きもの観察・虫取りが68%で最も多く、川遊び(58%)、登山やスキーといったアウトドアスポーツ(38%)と続いた。
今後やりたい活動は、1位キャンプ・アウトドアクッキング、2位アウトドアスポーツ、3位が川遊びとなり、親子の絆を強めたいという保護者が多いようだ。

家族での自然体験について8割以上が「今よりも増やしたい」と回答。一方で、現在の頻度は年に数回、月に1、2回という家庭が大半で、学校行事や習い事、仕事との兼ね合いで増やせないことがうかがえた。

コメントでは「今まで触れなかった虫が触れるようになり、自然に興味が湧いてきた」「個人ではなかなかできない体験をたくさんできる」などの声が寄せられ、子どもたちに日常とは違う体験をさせたり、自然と触れ合えたりする場として期待しているようだ。
家族だけで自然体験をするとどうしてもワンパターンになりがちなので、イベントに積極的に参加しています。イベントだと安心していろんな体験をさせられて良いと思っています。(那珂川町、40代女性)
小学1年生で、野外炊飯をしながら焼きマシュマロを食べたり、竹の器で抹茶を飲んだりと外で食べるという体験をしたら、食の好き嫌いがなくなってきた気がしました。(宇都宮市、50代女性)
農業体験(田植え、稲刈り)を通して、食べものを作ることの大変さや楽しさを感じることができていると思います。食事をする中でも、体験したことを家族で話すことがあります。食べ物を大切にする心が芽生えた気がします。(佐野市、30代女性)
子どもには自然体験させてあげたいとは思うが、両親が虫取りや釣りなどがあまり好きではないのでさせ方がわからない。申込制などの体験会に積極的に参加してみたいと思う。(宇都宮市、40代女性)
勉強は得意ではないけど、自然が好きで虫の観察や生き物が大好き。好きなことを伸ばしてあげたい。たくさん経験させてあげたいと思っています。(鹿沼市、40代女性)
川遊びや雪遊び、登山など年に数回行っています。登山は年々高い山に挑戦して登りきった後の達成感を感じられ、自然の豊かさだけでなく自然の怖さも学べる体験です。(宇都宮市、30代女性)
自然体験教室に参加する場合にはお金がかかるので、どうしても低所得家庭や母子家庭は参加しにくくなる。どんな子どもにも平等に自然体験教室に参加できる取り組み(補助金など)があればいい。(宇都宮市、40代女性)
魚釣りをしたとき実際に自分で釣った魚を焼いて食べることで、食に対して興味を持つようになった。(真岡市、30代女性)
幼児期から自然に触れることはとても重要かつ必要だと思っています。しかし自分一人ではなかなか経験させてあげられる機会が持てず、イベントを調べていますが、コロナ禍等で制約が加わりなかなか参加できないのが現状です。(宇都宮市、30代女性)
他の大人と関わったりする中で少し自立した気がする。(宇都宮市、30代女性)
インドアで遊ぶより親もリフレッシュになるためイライラしない。「何かをする」目的ではなく、アウトドアでないと気付けなかったことや、空気や自然を感じることを目的として子どもと自然体験に参加しています。(宇都宮市、30代女性)
自然ってステキだな、楽しいなと感じながら過ごすことで、将来は自分から自然と遊べるようになってほしいと思っています。(宇都宮市、40代女性)
虫や植物、身近な動物や鳥などの自然のものの名前や生態などに興味を持つようになった。(真岡市、40代女性)
自然の大切さ、生き物の大切さ、自然を相手にすることの難しさや対応の仕方を学んでほしい。(宇都宮市、40代男性)
自然体験で楽しむことはもちろんですが、同時に自然ならではの危険なことがあるということも伝えていければと思っています。(芳賀町、30代女性)
環境問題や動物愛護に興味関心を持つことはとても大切なことだと思う。自然体験を通して、生き物や植物の生態を知りいろいろな知識を増やしてほしい。(芳賀町、30代女性)
自然の中で遊ぶうちに、身近な生き物に興味を持つようになり、小さな虫でも楽しんで捕まえたりしてくる。また自然体験を通して家族内での共通の話題も増えました。(宇都宮市、40代女性)
苗植えを体験させてもらいました。娘は泥は苦手みたいでしたが、ザリガニや蛇などは普通に触れていたので驚きました。(宇都宮市、30代男性)
自然体験を通して身体的・精神的な成長をしてもらいたいし、できれば親も一緒になって楽しむことで思い出作りができ、家族の関係も良好になればと思っています。(下野市、50代男性)
川に行った時に、人生で味わったことがない冷たさの顔をしたことが印象的です! それだけでも立派な自然体験です!(那須町、30代男性)
子どもの成長を期にキャンプを始めました。家の中ではできないこと、学べないことを自分で感じて見つけてほしいなと、思います。(宇都宮市、30代女性)
とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク 遠藤・真山共同代表に聞く
アンケートでは、親子での自然体験を増やしたいと考えている一方で、実際は年数回にとどまっている人が多かった。「とちぎ子ども自然体験活動ネットワーク」共同代表の遠藤隼(えんどうじゅん)さんと真山高士(さなやまたかし)さんに、親子での自然体験の取り組み方を聞いた。
遠藤さんによると、子どもは木の枝をさおに見立てて釣りごっこをし、虫取り網を手に駆け回るなど、見立て遊び(ごっこ遊び)の一つとして自然を楽しんでいるという。一方、「大人は『釣りには本物のさおが必要だ』『捕まえたら虫の種類を調べなくては』などと考え、自然の中での遊びに踏み出すハードルを上げてしまっている」と分析した。
かつては道草したり、近所で遊んだりする中で自然と触れ合う機会があったが、子どもが犠牲になる事件や事故を受けて、川に近づいてはいけない、寄り道してはいけないといったルールが厳しくなっている。真山さんは「身近な場所で自然に触れる場が少なくなっている」と説明した。
県内では地域の特色や季節に合わせてさまざまな自然活動が展開されている。2人は「イベントに気軽に参加してみて、それぞれの家族に合った自然体験のスタイルを見つけてほしい」と話した。