近年のクイズブームをリードする東京大発の知識集団「QuizKnock(クイズノック)」。栃木県出身の河村拓哉(かわむらたくや)さん(29)は、立ち上げから携わるメンバーの一人だ。
鹿沼市で生まれ、その後埼玉県へ。小学2年の時に益子町へ移り、5年まで過ごした。「伝統を受け継いでいる陶器市にたくさんの人が来て、じっくりと作品を見て回る雰囲気が好き」と話す。その後は鹿沼市に戻り、宇都宮短大付属中・高を卒業した。

2012年、東大へ進学。クイズ研究会に入った。「高校3年の時の駒場祭(学園祭)でクイズ研究会の体験会に参加して、面白そうだなと思った」ときっかけを語る。
そんな中で転機が訪れた。クイズを使って面白いことがしたい-。「クイズ王」としても知られる伊沢拓司(いざわたくし)さんの発案で、メンバーが集められた。河村さんにも声が掛かり、「チャンスは逃さないようにしてきたので、飛び込んでみた」。

そしてQuizKnockはウェブメディアとしてスタートし、17年にユーチューブチャンネルを開設。クイズを中心に、エンターテインメントと知を融合させた動画を投稿している。メンバーはテレビ番組などにも出演。クイズ界を引っ張る存在となっている。河村さんは「当時はバイトを始めるような感覚だったので、まさかここまで大ごとになるとは思わなかった」と目を見張る。
動画の企画やクイズの作問、出演を担当する河村さん。視聴者が「神」と言ってしまうほど、その作問センスには定評がある。初めて動画を見る人に向けてまとめた10本の動画からも、その才能を見て取れる。また、河村さんが大会長を務める高校生以下が対象のクイズ大会「WHAT」の動画もお薦めの一つだ。

「ユーチューブはつまらないと思われたら視聴を止めるからこそ、見続けてもらうことが重要」と強調する。そのためにも「誰かが不愉快に思うようなことはしない」「難しい言葉を使うときはテロップで補い、視聴者を置いていかない」といった点に気を付けているという。
3月、チャンネル登録者数は200万人を突破した。「登録者数は、次回作を期待する人たちの数」と捉える。「予想は裏切ってもいいけれど、期待は裏切ってはいけない」。常に新しいものを作り出そうとするその姿勢が、視聴者をつかんで離さない。