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苦しみに向き合い「少しでも元気になってほしい」 夜につながる「唯一無二」の肉声 いのちの電話の相談員

夜に見つめる 第2部「命と日常を守る」③

3/31 11:30

 着信音とともに電話機に赤色のランプが点滅する。男性(69)は瞬時に受ける態勢を整える。そのコールには悩み抜いた末に振り絞った勇気が込められていることを知っている。電話のボタンを押し、落ち着いた口調で発する。「はい、栃木いのちの電話です」

 

 メモを取り、ヘッドセットから届く声に耳を傾ける。夜の暗闇は孤独感や寂しさを際立たせる。会話の内容だけでなく、話し方や抑揚、反応にも集中する。切羽詰まった状況であるほど声は力なく、か細くなる。その声と自分が発する言葉との間には生と死のはざまがある。

 

 一人で抱え込み、眠れず、どうにもできない苦しみに向き合ってまもなく3年になる。

 

小部屋に設置されている電話機=2月6日午後8時、宇都宮市内、近藤文則撮影
小部屋に設置されている電話機=2月6日午後8時、宇都宮市内、近藤文則撮影

 

 自殺予防を目的に電話を受け付ける「栃木いのちの電話」。県内2カ所で30~70代の男女211人が無報酬で匿名の相談に応じる。1カ所は24時間365日対応する。活動場所も、相談員が誰かも、具体的な相談内容も一切明らかにできない決まりだ。