宇都宮空襲があった昭和20(1945)年7月12日の夜を忘れません。空から火の玉のように油の塊が降る中、田んぼの中に避難しました。

 次第に東の空が明るくなり、道に立ってわが家の方を見てみると、何もありませんでした。

 防空壕(ごう)で3日ぶりに食べたおにぎりに涙がこぼれました。数日後、焦げた梅を入れておかゆを作って食べた時、家族が初めて笑顔になりました。

 スプーン1杯のおかゆのおいしさのおかげです。