昨年8月1日午前、宇都宮市の河内総合運動公園陸上競技場で行われた県中学総体のサッカー決勝。

 キックオフから7分半ほどたつと、審判の合図で西那須野中(那須塩原市)と豊郷中(宇都宮市)の選手がプレーを止め、自陣のピッチサイドに集まった。「飲水タイム」だ。

 「ここのところの異常な暑さを受け、この大会から導入しました」。県中学校体育連盟(中体連)サッカー専門部の御子貝和亮(みこがいかずあき)教諭(52)=宇都宮市宮の原中=は説明する。数日前から真夏日が続き、決勝当日は最高気温が35度を超えた。

 強い日差しが照りつけ、地面からの熱が立ち込める。昨年の大会は会場を増やし、各チームとも原則1日1試合に限った。ハーフタイムには冷房が効いた部屋かバスで涼ませる。前後半それぞれの中間にクーリングブレーク、暑い場合は飲水タイムも挟んだ。

 試合の流れを止めてしまう懸念もあったが、生徒の健康を優先させた。「『ここまでやるか』というほど熱中症対策は完璧だった自負はある」と御子貝教諭は胸を張る。

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 猛暑の中で開催される夏の大会。熱中症への警戒は必須だ。陸上競技は長距離を午前中に行う。テニスは会場付近に空調設備がある部屋を準備。卓球は3年前からエアコンがある県北体育館に会場を移した。サッカーに限らず、各競技ともさまざまな工夫を重ねる。

 大会は県、関東、全国とつながり、それぞれ日程が控える。単純に気温や暑さ指数で中止にしたり、日程を延ばしたりするのは難しい。それでも「『終わらないからやってしまえ』は許されない暑さ」と県中体連の薄武郎(うすきたけお)事務局長(45)は悩みを明かす。

 今夏は、県大会の会期を従来の3日間から1週間に延ばす方針。エアコンのある会場を使う屋内競技の競合を防ぐためだ。地区大会でも予備日を設定するなどして暑さに備える。

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 児童、生徒の熱中症対策は、日常の学校生活にも広まっている。

 県内で毎年高温が頻発する佐野市は昨年、全小中学校に暑さ指数計を導入。佐野市天明小は6月下旬から夏休みに入るまで、ほとんどの昼休みで外での活動を中止とした。下校の前には水筒の水を補給させ、エアコンのない特別教室は、教員が清掃するようにした。

 足利二中や宇都宮北高など、終業式を体育館ではなく放送で実施するなどした学校もある。佐野市北中は昨年6月下旬に2日間、部活動を一斉に取りやめた。同校の水沢大宗(みずさわだいしゅう)教頭は強調する。「賛否両論あったが、暑さは異常なレベル。生徒が倒れてからでは遅い」

 猛烈な暑さは、子どもたちを取り巻く環境も変えている。