昨夏、猛暑日が頻発した佐野市。組織を挙げて熱中症対策を始めた=昨年6月下旬、JR佐野駅前

 昨夏、埼玉県熊谷市で夏の風物詩になっていた八木橋百貨店前の大温度計にあるキャッチフレーズが「あついぞ!熊谷」から「熊谷夏の陣」に替わった。夏の暑さが全国的に有名な熊谷。昨年7月23日には国内最高の41・1度を記録した。

 「もともと2年前の夏でやめるつもりだった。『あついぞ』には、もう市のお墨付きがないんです」。同百貨店の宮地豊(みやじゆたか)執行役員(57)は明かす。

 2005年、市が掲げた「あついぞ!熊谷」のPRは、暑さを逆手に取った地域活性化策の象徴だった。しかし市は16年度から、このフレーズにちなむイベントの募集をやめ、17年度の予算からはフレーズを冠した事業をなくした。

 熱中症の深刻度が増す中、「暑いまち」より「暑さ対策日本一のまち」に一層重きを置いている。

 10年以上前、全職員から提案を募り、熱中症対策を柱としたプロジェクトを創設した。若手職員が話し合って出した案も毎年実現するなど「市を挙げて対策に取り組んでいる」と担当者は自信をのぞかせる。

 子どもやお年寄りへの予防グッズ配布、熱中症予防声掛け協力事業店-。環境省などでつくる実行委員会が自治体や企業の優れた熱中症予防活動を表彰する「ひと涼みアワード」で、市は受賞の常連だ。

 「目指せ!熱中症による搬送者ゼロ」

 本県に隣接する群馬県館林市も、活動目標を掲げ対策に力を注ぐ。40度超の気温を記録した翌年の08年から、市の部局を超えて組織した「本部会議」と、有識者や地域の団体代表らによる「市民会議」を設けている。行政と住民それぞれの立場から頭をひねる。

 昨年は、講習を受けた教員を各学校の指導役に認定する「熱中症予防アンバサダー」や、企業と連携したセミナーを開くなど熱中症対策と温暖化対策を合わせ、行った事業は約60に上った。市地球環境課は「対策の重要性を再認識した猛暑だった」と受け止める。

 県内の自治体も組織的な対応に乗り出している。

 小山市は16年4月、熱中症対策の会議を設置。健康、教育、消防など市の関連部署の職員と小山地区医師会の医師らでつくり、年3回、効果的な啓発の手法などを話し合う。市内には外国人も多いため、昨年は英語とポルトガル語、スペイン語のチラシを作って来庁者に手渡し、注意を呼び掛けた。

 佐野市は昨年7月半ば、部長級以上を集めた熱中症の会議を初めて開いた。職員延べ280人を動員し5日間、広報車で市内を巡るなどした。

 熊谷が国内最高気温を記録した同じ日、佐野は39・2度に上り県内最高を更新した。佐野市危機管理課の担当者は力を込める。「従来の気象災害と同じように捉え、今後も対応する」

 自治体を挙げて市民の命を守る。そのレベルにまで暑さの脅威は達している。