県東地区の社会福祉協議会が特例貸付制度利用者へ行ったアンケート。多くが現在も続く困窮状態を訴えた=1月中旬

 新型コロナウイルス禍に伴う休業などで収入が減った世帯に無利子で生活費を貸し付ける「特例貸付制度」で、2023年1月に返済開始時期を迎えた県内の約3万8644件のうち、およそ4分の1となる8946件が一度も返済されておらず、滞納されていることが14日までに、県社会福祉協議会のまとめで分かった。窓口業務を担う各市町社協には、滞納する子育て世帯から「進学の準備でお金がかかり(返済は)厳しい」とする声が届くなど、困窮世帯の生活状況が上向かない実態が浮き彫りとなった。

 特例貸付は20年3月、国が低所得者向けの資金貸付の対象をコロナによる減収世帯にも広げて開始した。

 県社協によると、22年9月までの県内の貸付実績は5万7千件、212億2800万円。内訳は一時的に資金が必要な世帯に上限20万円を貸す緊急小口資金が2万4660件、45億3700万円。生活再建のために月20万円を最大9カ月貸し付ける総合支援資金が3万2381件、166億9100万円。

 住民税非課税などの低所得世帯の場合、返済免除となる場合がある。最も早い23年1月の返済開始分のうち、対象世帯の約3割に当たる1万959件が免除となり、ひと月分も返済していない滞納世帯と合わせると、半数以上が返済に窮する状況にあるとみられる。

 県内の複数自治体の社協によると、同制度の利用者は非正規雇用者が多く、子育て世帯も一定数いる。

 「コロナで学校が休校となった影響で仕事を休まざるを得なかった」ことなどを減収理由に挙げる世帯が多かったほか、「物価高騰で食費などの支出が増えてしまった」などの声が寄せられているという。

 県社協の担当者は「借りた人のフォローアップを積極的に展開することが今後の課題」としている。

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