市場評価が高い鹿沼のニラ
市場評価が高い鹿沼のニラ

脱サラし新規就農 今月、待望の初出荷

 栃木県は高知県に次いで全国2位の「ニラ生産県」。中でも鹿沼市のニラ農家でつくる「鹿沼にら部」(110人)の生産量は本県全体の約3割を占め、県内最大の産地。全国でもトップクラスを誇っています。鹿沼にら部に所属する同市油田町の石川丈泰さん(47)は昨年4月に新規就農し、今年1月に待望の初出荷へ漕ぎ着けました。「鹿沼のニラのブランドを守りたい」と張り切っています。

 今月中旬は、ニラが最もおいしいという「一番狩り」の出荷のピーク。石川さんは、妻の和美さん(46)、和美さんの父母の計4人で刈り入れと出荷作業に追われています。

石川 丈泰さん(47歳)
石川 丈泰さん(47歳)

 栃木市育ちの石川さんはかつて、東京都内で会社員として働いていました。「超ハードなサラリーマン生活でした。母の実家がコメとナシの農家で、子どもの頃に手伝った楽しい経験が『いつか農業をしてみたい』という思いにつながった」と振り返ります。

 ニラを選んだのは、それほど重労働ではなく、「父母世代とともに家族みんなで農作業ができる」、「収穫したあとも丈が伸び1年を通して栽培でき高収入も期待できる」ことが理由だったそうです。一昨年3月に市内へ引っ越し、市の就農希望者研修制度を利用してベテランのニラ農家で1年間修業後、独り立ちしました。県立農業大学校の「就農準備校とちぎ農業未来塾」でも農業経営の知識などを学びました。「鹿沼にら部の石川順一さんが指導してくれ、何でも教えてくれます。良い師匠に恵まれました」と笑みを浮かべます。

肉厚で深みある甘さ 品質トップクラス

 初年度は「ミラクルグリーンベルト」と「ゆめみどり」の2品種を、ハウス6棟で計12アール栽培。「将来的には50アールの栽培を目指しています」と夢が膨らみます。

収穫に向けた準備作業
収穫に向けた準備作業

 サラリーマンとして大阪で暮らしたことがある石川さん。当時、友人らが鹿沼のニラのおいしさを話題にしていたのが記憶に残っています。JAかみつがの担当者も「鹿沼のニラは品質も全国トップクラス。幅広で肉厚、深みのある甘みに特徴があります」と胸を張ります。昭和40年代前半に栽培が始まり、約60年間で培われた栽培技術が今日の地位を支えています。「高齢化で農家が減少している現実はありますが、石川さんのような新規就農者もここ数年増えています。後に続く若い人たちの良いモデルになってほしい」とエールを送ります。

 おいしい食べ方について、石川さんは「今が旬の一番刈りをレンジで少し温め、ポン酢で食べるおひたしが最高ですよ」と教えてくれました。

 お問い合わせはJAかみつが総務部くらしの活動課☎0289・65・1012。