
若手が支える宇都宮のナシ栽培
みずみずしさとシャリシャリした食感が魅力のナシ。ちょうど今、旬を迎えています。本県のナシ栽培は明治の中ごろからとその歴史は古く、農林水産省の令和6年産の統計では、全国4位の生産量を誇っています。中でも宇都宮市はナシ栽培が盛んなエリアです。新たな品種「甘太(かんた)」を加え、6種類のナシを栽培しており、現在は「にっこり」の出荷が最盛期を迎えています。
今回話を聞いた山口慧さんは宇都宮市上籠谷町の山口果樹園の取締役で、JAうつのみや梨専門部研究部の部長も務める若手果樹農家の一人です。同部は雀宮・城山・清原・河内の四つの地域組織の他に、生産指導組織として「生産部」「研究部」「根圏制御栽培研究会」「ハウス梨研究会」「ジョイント研究会」が活動。山口さんが部長を務める研究部は、若手やUターン後間もない生産者を中心に、栽培技術の向上や経営改善などに取り組んでいます。

山口さん自身も、北海道での農業経験はあったものの果樹栽培はUターンで宇都宮に戻り結婚してから。上籠谷町のある清原支部では花粉採取用の受粉樹園の管理を研究部が中心となって行っていますが、山口さんは「受粉果樹をみんなで管理するので協力・連携する雰囲気が自然と生まれます」と話します。
農業経営と産地維持が今後の目標
受粉果樹の管理以外にも全部員が定期的に果肉肥大調査を実施し、データを共有。これにより、例年と比較した生育状況の把握が可能になるほか、新農薬などの効果確認試験の実施や視察研修、生産講習会などを通して、生産技術の平準化・高度化と生産振興を図っています。
これらの甲斐もあり、「今年も美味しいナシができました」と話す山口さん。JAうつのみやで栽培されたナシは、内部品質センサーを備えた統一選果場を経て、県内はもとより都内を中心とした市場へ出荷されます。

全国的に農業従事者の高齢化と離農者の増加が問題になっている中、JAうつのみやは若手の活躍が際立っているのが特徴。山口さんは、こうした強みを生かしつつ、「今後は生産者各自の技術向上に加え、農業経営や産地維持といった広い視野を持ったナシ栽培に取り組んでいきたいです」と抱負を語ります。
お問い合わせはJAうつのみや営農部園芸課☎028・667・0152。