~来館者調査で見えた、鑑賞トレンドと行動変容の兆し~

2025年9月17日
サントリーパブリシティサービス株式会社

文化施設の運営・コンサルティング業務を展開するサントリーパブリシティサービス株式会社(本社:東京都 江東区、代表取締役社長:千大輔、以下 SPS)は、関東エリア在住の1,037人を対象に、美術館への来館動機や利用実態、施設への期待などを調査しました。

 

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1.約80%が「美術館会員」潜在層。若年層へのSNS施策が継続的な来館者獲得の鍵 

 美術館にとって、会員制度は来館頻度を高める有効な手段ですが、今回の調査では、「すでに会員になっている」層は10%にとどまりました。

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 一方で、「会員になりたいと思う(23%)」「興味はあるが、まだ考えている(38%)」と入会に前向きな姿勢を示した層は61%と高い割合でした。さらに、「会員制度の詳細を知らないのでわからない」とした層も18%おり、合わせると「美術館会員」になりうる潜在層が約80%にのぼることになります。

 特に、「会員になりたいと思う」と答えた層は意外にも20~30代の若年層に多く、彼らは美術館の公式以外のウェブサイトやSNSを、主な情報源としていることも今回の調査で明らかとなりました。こうしたチャネルでの会員制度の認知拡大と加入促進活動が、継続的な来館者数の増加につながると言えるでしょう。

 

 

2.展示室での私語、来館者の約70%が状況次第で容認

 展示室内での私語(会話)に関しては、「ある程度許容できる」「非常に許容できる」と回答した層が40%、「どちらともいえない(状況によっては許容できる場合もある)」が29%となり、約70%が条件付きで容認する姿勢を示しました。対して、「まったく許容できない」「ほとんど許容できない」とした層は31%にとどまる結果となりました。

 また、年代・地域・性別・鑑賞作品のジャンルによる差はほとんど見られず、私語に対する厳しい意見が特定の層に偏っているわけではないことも分かりました。

 一般的に美術館は「静かに鑑賞する場」というイメージがあるため、私語をナーバスに捉えがちですが、実際には多くの来館者が状況に応じて受け入れる傾向にあるようです。ギャラリートークなど体験型展示の広がりとともに、美術館は、作品の観覧場所から対話や共有を通じて作品理解を深める場へと進化しつつあるのかもしれません。

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3.夜間来館は未開拓の可能性 求められるのは“割引”と“広がる体験”

 美術館に最もよく訪れる時間帯として「夜間(18時以降)」を選んだ来館者は、全体のわずか1%にとどまり、夜間利用が定着していないことが明らかとなりました。

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 最もよく訪れる時間帯として「夜間」を選ばなかった層に対し、夜間来館を後押しする特典を尋ねたところ、「夜間割引」が年代を問わず高い支持を集めており、改めて来館促進の施策として有効であることが確認されました。

 また、「ギャラリートーク」や「ワークショップ」といった鑑賞を“深める”体験よりも、「記念品(プレゼント)」や「お食事とのセットプラン」など、鑑賞体験を“広げる”特典への関心が高い傾向が見られました。こうした特典は、来館者にとって思い出や満足感を可視化しやすく、SNSでの発信にもつながりやすい点が特徴です。特に記念品は『行った証』として、食事とのセットプランは『特別な時間』として、写真や投稿を通じて共有されやすく、来館体験の拡張とともに、美術館の認知拡大にも寄与するでしょう。

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今回の調査から、美術館が“静かに鑑賞する場”から変化しつつあることが見えてきました。会員制度への 関心、私語への寛容、夜間利用への期待など、多様なニーズに応えながら柔軟に運営方法を見直すことが、  来館者との関係性を深め、新たな文化体験の創出を促し美術館の未来を拓く一歩となるでしょう。

 

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■調査概要

調査目的:美術館の来館者ニーズを把握し、新たな価値や今後の成長トレンドを探る

調査内容: アート鑑賞以外の来館目的 / 来館時間 / 情報収集の方法 等

調査母集団形成:

関東地方在住の20歳以上の2万人から、以下の2点により調査対象者を1,037人抽出

・過去1年間において一定回数の美術館への来館経験がある人物

・上記に加え、美術館に関する情報収集やイベント等に参加経験がある

調査方法:インターネットによるWEBアンケート

調査期間:2025年 7月2日(水)~7月4日(金)

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■サントリーパブリシティサービス株式会社について

 SPSは、1963年の創業以来、人と企業、人と文化、人と地域をつなぐ接点の場で、独自の価値を創造することに取り組んでまいりました。

 ブランド創出やステークホルダーとの関係強化につながる工場見学・企業展示・企業受付・インフォメーション・コールセンターなどの30を数える企業施設の運営。人々の心豊かな生活と、地域の活性化に貢献する音楽ホールや美術館など50箇所の文化施設の運営。また、施設運営で培ったノウハウを元に、組織と人の成長を促す「研修企画・運営」、施設の価値創造・向上につながる「施設運営コンサルティング」業務を展開しています。

 

会社名 :サントリーパブリシティサービス株式会社

所在地 :東京都江東区豊洲3-2-24 豊洲フォレシア16階

代表者 :代表取締役社長 千大輔

URL :https://www.sps.sgn.ne.jp/