静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で女児(3)が通園バスに取り残され死亡した事件を受け、栃木県の保育施設は事故防止への意識を高め、出欠確認やバス内の見回りなど、改めて日常の安全対策を徹底している。関係者は「事件は防げたはず」と口をそろえる。栃木県は8日までに、県内の認定こども園や幼稚園など計約500施設に対し注意を呼びかけた。
8日朝、那須塩原市西大和の認定こども園「西那須野幼稚園」に通園バスが次々と到着した。園児の降車後、車内に園児が残っていないか職員が念入りに確認し、新型コロナウイルス対策で別の職員が消毒や掃除を行い、再度確認した。
「命を預かる身としてあり得ない」。福本光夫(ふくもとみつお)園長(66)は語気を強める。まれに座席の下で寝てしまう園児もいるが、職員ら2人のダブルチェックで「置き去りは防げる」と話す。
県内最大規模の約350人の園児を預かり、約100人がバスを利用する宇都宮市五代3丁目の「認定すずめこども園」。事件翌日の6日、朝礼で石嶋勇(いしじまいさむ)園長(71)が全職員に注意喚起した。「子どもの動きは読めないので、いろんな事態を想定していきたい」と気を引き締める。
昨年7月には福岡県中間市の保育園で、バスに置き去りにされた男児が熱中症で死亡する事件が起きた。
那須塩原市住吉町の認定こども園「黒磯幼稚園」は目視の車内確認に加え、出席予定の園児を点呼しながら名簿と照らし合わせる対策を徹底している。秋間英司(あきまえいじ)園長(44)は「職員の負担もあるが、安全第一に二重三重にチェックをしていきたい」と話した。
県こども政策課の担当者は「誰がバスに乗って誰が降りたのかなど、出欠情報の共有を徹底することが重要。関係者には改めて点検を求めたい」としている。