安倍晋三(あべしんぞう)元首相の国葬を巡り、下野新聞社が行ったウェブアンケートでは、16億円超とされる費用や国葬を決めたプロセス、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関わりなどを疑問視し、「税金の無駄遣い」「疑惑が払拭されていない」などの意見が相次いだ。一方、賛成派は憲政史上最長の8年8カ月の在任期間や外交の実績を理由に挙げた。「どうでもいい」との回答もあり、政治への不信感もにじんだ。

 国葬費用は当初の約2億5千万円から、警備費や外国要人の接遇費などを加え16億6千万に膨らんだ。40代男性は「国民をなめている」。40代女性は「物価高で生活困窮者が増えている。税金を投入してやることではない」と記述した。

 森友、加計学園や「桜を見る会」を巡る問題への批判も根強い。70代男性は「多くの疑惑が晴れていない人に対して国葬はあり得ない」と指摘。旧統一教会と自民党を中心とした政治との関わりを「納得できない」とする声も複数あった。

 国葬の決定過程の不透明さへの戸惑いも。60代女性は「岸田首相の独断で、根拠が希薄」。50代男性は「国民の声が反映されていない。民主主義と言えるのか」とした。

 これに対し、賛成派の30代男性は「歴代トップの外交成果があり、国葬を通じ各国要人と活発な交流が見込まれる」と回答。40代女性も「これほど他国の首脳と対等に渡り合えた首相はいない」と評価した。

 40代女性は「志半ばで命を絶たれた悲しさ、悔しさ、無念さを思うとそれなりの弔いがあるべきだ」。50代男性は「暴力に屈しない日本国の姿勢を各国に示す」ことの必要性を訴えた。

 一方、30代女性は「興味がないし、どうでもいい」とし、冷ややかな見方を示した。