製品、建築、ソフトウエア、サービスなどさまざまな物事を対象に優れたデザインを顕彰する「グッドデザイン賞」(日本デザイン振興会主催)の2022年度の結果が今月発表された。栃木県関係で選ばれた旅館から防犯用品、モバイル乗車券まで多彩な7件を紹介する。

★ふふ日光(日光)

「ふふ日光」(エネックス写真事務所撮影)

 一つ目は、日光市本町の田母沢御用邸付属邸の跡地に2020年オープンした高級温泉旅館「ふふ日光」。杉林が創り出す荘厳な空間と建築が融合し、審査委員からは「重要文化財である建築群のデザインと質を継承し、地域景観と文化の保存に貢献する設計者の丁寧な仕事」などが評価された。

★サスマタ タックルPlus(足利)

スティーラーズのさすまた「サスマタ タックルPlus」

 二つ目は、スティーラーズ(足利市)が手がける防犯用品のさすまた「サスマタ タックルPlus」。さすまたを押し当てると、対象者の体に巻き付き、密着してロックがかかる。「ロック機能や解除の方法もシンプルながら理にかなった構造。既製品と比較して、大幅に使い勝手が改善されている」と評された。

★くい丸(宇都宮)

くい丸の鋼製杭「くい丸」

 三つ目は、くい丸(宇都宮市)の鋼製杭「くい丸」。建設現場の仮設材として以前、大量に使い捨てされていた打ち込み杭(くい)に着目し、製品化した。1994年の発売以降、出荷数は累計950万本を超え、「最小限の形状で最大限に機能をもたらす工夫が随所に盛り込まれ、意匠と機能の両立がなされている」と認められた。

★スプラウト(宇都宮)

カンセキの釣りざお「スプラウト」

 カンセキ(宇都宮市)の釣りざお「スプラウト」も受賞した。しまい寸法が33センチとコンパクトで、ポップな5色(グリーン、オレンジ、カーキ、ダークグレー、ライトグリーン)を展開する。「新しく釣りを始めるユーザー向けに提案されたカラースキームや、コルクグリップを採用した細部の質感など、丁寧にデザインが検討されている」と評価された。

★スマホ de noroca(小山)

モバイル乗車券を表示したスマホを手に撮影に臨む東武トップツアーズの百木田社長(左)と小山市の浅野市長=2021年10月1日

 小山市などが受賞したのはモバイル乗車券「スマホ de noroca」。無料通信アプリLINE(ライン)を基盤にし、市内コミュニティーバスの全線定期券と回数券をアプリ化した。高齢者の利用率も高いLINEに注目した上、回数券が「家族や友人分の運賃をひとつのスマートフォンでまとめて払える」点なども評価された。

★まちづくりプロジェクト(真岡)
★真岡木綿草木染見本帖(真岡)

高校生や大学生を中心に活動する真岡まちづくりプロジェクト

 このほか、高校生や大学生を中心とした市民が中心市街地の活性化に取り組む真岡市の「真岡まちづくりプロジェクト」と、真岡商工会議所の「真岡木綿草木染見本帖(ちょう)」も受賞した。