新たな品種「とちあいか」に注力

栃木県の冬の味覚といえばイチゴ。「とちおとめ」「スカイベリー」「とちひめ」真っ白な「ミルキーベリー」と、たくさんの品種がありますが、ここ数年県やJA全農とちぎが特に注力しているのが「とちあいか」。2020年から栽培が開始された新しい品種で、「とちおとめ」よりも糖度が高く酸味はやや少なめ。「断面がハート型になる」と見た目も話題の品種です。

JAうつのみやの苺専門部に所属し、宇都宮支部青年部長も務める、(株)鈴木いちご農園の鈴木啓介(すずき けいすけ)さんも「とちあいか」を栽培するイチゴ農家です。鈴木さんの家では以前は原木シイタケを栽培していましたが、18年前からイチゴ農家に転身。鈴木さん自身は13年前に県農業大学校の研修を受け就農しました。3年前に法人化し、現在は両親と社員1人、パート職員20人ほどが60アールのほ場を交代制で栽培しています。「とちあいか」の栽培面積は年々増えていて、現在は13アールにまで広がりました。
「とちあいか」は従来の品種に比べて病気に強い反面、生育状況に応じて追肥をしないと先端まで色づかない場合があるため、これまで以上に丁寧な栽培が求められます。そのため、今年から13アール中3アールを高設栽培にしました。設備にかかる費用は増えますが、水やりや追肥のタイミングを機械で自動化でき、作業効率も上がり結果収量も増えたそうです。
幅広い販路でおいしいイチゴを届けたい
鈴木さんの「とちあいか」は、主にJAうつのみやを通じて市場に出荷されますが、一部は海外にも出荷されています。毎年、タイの首都バンコクの高級百貨店に出荷していますが、現地の富裕層にも大人気だそうです。また「農福連携」にも取り組んでいます。障害者らによって収穫されたイチゴは宇都宮市の食品メーカーが製造するアイスの原料として使用されますが、こうした取り組みは今後も継続していきたいと考えています。

さまざまなことに挑戦したいという思いで法人化した経緯もあり、「将来は面積も増やし、6次化にも挑戦したい」と話す鈴木さん。既に市内企業の人気ピクルス商品にも鈴木さんのイチゴが使われているそうです。
これから春先までがイチゴ出荷の最盛期。JAうつのみやの「とちあいか」、見かけたらぜひ手にとって召し上がってみてください。