社長からイチゴ農家へ 新規就農塾で就農準備

 500人を超える農家がイチゴを栽培しているJAはが野。2020年に就農した飯野晃広さんは、東京都出身。大手証券会社を経てゲーム会社を設立し、人気作品のプロデュースや経営に携わっていました。

 転機は18年。1カ月間の北海道旅行を通じ地方移住を決意。8月に都内で開かれた移住セミナーで真岡市がイチゴ栽培日本一であることを知り、就農を決意。それからの行動は早く、11月には引っ越しを済ませるほど。

 就農までの1年は「新規就農塾」を活用。管内のイチゴ農家で栽培を学び、畑や設備の手配など就農に向けての準備も並行して進めました。「地域の人々との信頼関係を築く有意義な時間でした」と振り返ります。

つるのように伸びた茎を切り離し定植する
つるのように伸びた茎を切り離し定植する

 現在、「とちおとめ」を栽培している飯野さんは、今冬の収穫に向けて育苗作業の真っ最中。就農当初は「炭疽(たんそ)病」などに悩まされたものの、「自然相手の農業は運任せの要素が多いと思っていましたが、知れば知るほど手をかけるだけおいしくなり、病害虫のリスクも減らすことができると知りました」と語ります。

育苗の成否がイチゴの出来を左右
育苗の成否がイチゴの出来を左右

 かつてはいろいろなものに追われ、人間関係にも苦労しましたが、自分の裁量で働けてイチゴと真摯に向き合える今の働き方に満足しているそう。おいしいイチゴを栽培することが、「就農を支えてくれた人たちへの恩返し」と考え、栽培に励んでいます。