遠井 尚徳さん(43歳)
遠井 尚徳さん(43歳)

持続可能な農業の実現を目指して

 小山市梁、「結城紬」で有名な茨城県結城市近くでイチゴ栽培を営む遠井尚徳さん。1㌶のハウスが広がる遠井農園を経営し、大粒で甘味と酸味のバランスが特徴の「スカイベリー」をはじめ、「とちおとめ」や「とちあいか」を栽培しています。

 遠井さん宅は、かつて米や麦、大豆の栽培に加え織物の仕事をしていましたが、父の代からイチゴ栽培に着手。自身も新潟の大学で農業を学び、卒業論文はイチゴをテーマに研究を行いました。「一度、外に出たことで、改めて冬場の日照時間や豊かな水、粘土質の土など『小山の この地 は、イチゴ栽培に適した条件がそろっている』と実感しました」と振り返ります。

大きく実った収穫直後のスカイベリー
大きく実った収穫直後のスカイベリー

 大学卒業後は実家に戻り就農。最初に作業負荷の軽減に取り組み、それまでの土耕から高設栽培へ転換。日照、地温、CO2などのセンサーによるモニタリングと環境制御を導入しました。繁忙期には15人ほどのパート職員が作業に携わっており、「従業員の負担を少しでも減らし、長く働いてもらえる環境づくりが自分の役割」と話す遠井さん。「持続可能な農業」の実現に向け努力を続けています。

高設栽培で作業のしやすさが格段に向上
高設栽培で作業のしやすさが格段に向上

 最先端の設備を導入している同農園で、特にこだわっているのが「検鏡」です。定植前のイチゴの苗をサンプリングし、イチゴの茎「クラウン」にある成長点を顕微鏡で検査。花芽の形成段階を確認した上で定植することで開花率が高まるといいます。

食育や販路開拓など新たな取り組みも

 新たな取り組みとして食育もスタート。息子が通う保育園で、園児や先生にイチゴ栽培を体験してもらいました。「栽培を通して、かけがえのない『輪』が生まれた」と手応えを感じています。

 円安などの影響を受け燃料代の負担が増えましたが、イチゴの品質維持のため燃料と肥料は絶対に妥協しないとのこと。「今季は夏の暑さの影響で収穫時期は若干遅れたものの、例年どおりおいしいイチゴができました」と話します。栽培したイチゴは主にJAおやまに出荷するほか、自動販売機やオンラインショップでの販売にも力を入れています。収穫作業は5月初旬まで続きます。こだわりが詰まった遠井農園のイチゴをぜひ召し上がってみてください。

 お問い合わせは、JAおやま園芸振興課 ☎ 0285・ 38・ 2373。