【佐野】稼働から30年が経過し、老朽化が進むあくと町の葛生清掃センターについて、市は来年度からごみ焼却施設などの大規模改修を予定している。11月25日の市議会全員協議会で、執行部は「毎年の定期修繕では対応できない状況。安定的な稼働に不安があり、市民に重大な影響を及ぼす可能性がある」と説明した。概算工事費は21億9600万円、工事期間は2025、26年度の2年間を見込んでいる。
同センターは1994年4月に稼働した。処理能力は、可燃ごみの焼却が1日16時間運転で53トン(26・5トンの炉2基)、粗大ごみの破砕は1日最大5時間の運転で10トン。不燃ごみ、缶や瓶類、ペットボトル、新聞、雑誌、段ボール、衣類、乾電池といった有害ごみなども受け入れ対象としている。
しかし近年は設備・機械の老朽化に伴う故障が目立ち、今年は4、5月に1炉の停止を余儀なくされるなど、今後の稼働に向けて懸念が生じている。
市は庁内検討委員会で稼働状況をはじめコスト、安全や利便性などを踏まえ検討した。その結果、建て替えの場合に比べコストが大幅に抑制できる大規模改修により、「10年以上の延命」を図ることが望ましいとの結論に至ったという。
大規模改修では、ごみクレーンや粗大ごみ切断機の更新のほか、燃焼設備では各種装置の油圧ユニットの交換や耐火物の補修を実施。排ガス処理設備はろ過式集じん機を更新し、給排水設備は機器冷却水ポンプや消火栓ポンプを交換する。通風や灰出し、電気計装設備についても更新-。これらの工事などを見込む。
市は来月の市議会定例会に工事費補正予算案を提出し、年度内の契約などを経て来年度に着工する方針。工事は1炉ずつ施設を稼働しながら実施し、現在1日30トン平均で搬入されているごみの受け入れなどは従来通り行うという。