パリ五輪の射撃混合エアピストル銀メダリストで、その軽装ぶりから「無課金おじさん」と呼ばれ注目されたトルコのユスフ・ディケチ選手(51)が6日、栃木県宇都宮市新里町の県ライフル射撃場で開かれた日本ライフル射撃協会の強化指定選手を対象とした講習会で講師を務めた。ズボンのポケットに左手を入れて右手で銃を構えるおなじみのフォームも披露し、選手20人に五輪での経験などを語った。

この日はジャケットにコートを羽織った装いで登場。自身5度目の出場となったパリ五輪でメダルを獲得した喜びを語ったり、試合で緊張を感じる時の対処法など参加者の質問に答えたりした。
約1時間の講習を終え、報道陣の取材に「若い選手たちは情熱を持っていた。2028年(ロサンゼルス五輪)にはこの中から2、3人のライバルが参加するはずだ」と次の五輪での対戦を期待していた。
射撃競技は遮音用耳当てやゴーグルなどを着けるのが一般的だが、パリ五輪のディケチ選手は装備を着けずTシャツ姿で躍進。オンラインゲームで装備に課金しないことになぞらえて「無課金おじさん」の愛称で交流サイト(SNS)などで話題となった。
日本協会が選手強化事業の一環で招き、設備が充実していることなどから同射撃場が講習会の会場となった。ディケチ選手は8日午前9時から、同会場で行われる日本トルコ親善大会に出場するほか、7日午前9時からは公式事前練習に臨む。いずれも一般入場できる。
(文・田井伎、写真・河野光吉)