国立社会保障・人口問題研究所の推計で、四半世紀後の本県は、世帯主が65歳以上の高齢者世帯が全世帯の49・2%と半数に迫り、高齢者の4人に1人が1人暮らしとなるとの将来像が示された。
結婚の選択を含むライフスタイルは人それぞれである。しかし、その多様化によって、老後の生活を家族や親族に頼るのが困難になる層が確実に増加することを推計値は示している。社会全体で孤立や孤独を防ぐ環境整備を急がなければならない。
2020年の国勢調査や同研究所が23年に公表した将来推計人口を基に、50年までの30年間について推計した。4月に全国推計、11月に都道府県別を公表した。5年ごとに推計しており、1世帯当たりの平均人数や65歳以上の高齢者の単身世帯数、「夫婦のみ」「夫婦と子」「ひとり親と子」といった家族類型別の割合も分かる。
本県の世帯数は20年に79万5千世帯だった。推計では30年には83万3千世帯に増えるが、その後減少傾向に転じて50年には20年比で8%減の73万4千世帯となる。
このうち高齢者世帯の割合の推移は、20年が31万3千世帯(39・4%)、50年が36万1千世帯(49・2%)と9・8ポイント上昇する。
本県の65歳以上の1人暮らしは20年が9万5千世帯。50年には14万8千世帯に増加する。これにより、50年には65歳以上の24・9%が1人暮らしになる見込みだ。
65歳以上の4人に1人が、ひとりで暮らす社会の背景には、生涯に一度も結婚していない未婚者の比率の急増がある。結果、配偶者も子どももいない人が増加。加えて、高齢者の兄弟姉妹数は減少している。これらの要因から、今後、近親者のいない単身高齢者の急増が想定され、老後の生活を家族・親族に頼ることが一層困難になると見込まれる。
そのため、家族に代わって、社会に求められる仕組みを早急に整備していくことが求められる。
具体的には、(1)通院同行など日常生活を支える仕組み(2)入院や介護施設入所の際の身元保証制度(3)本人死亡後の埋葬や財産処分などの死後対応-などが喫緊の課題となる。
これらの支援は、身寄りのない高齢者にとっては切実な問題だ。社会として万全な備えで支えたい。