客が理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の防止に向け、県は16日、防止条例の制定を検討する方針を明らかにした。県議会12月通常会議の一般質問で、県の石井陽子(いしいようこ)産業労働観光部長は「ハラスメントのない職場や社会に向けた機運の醸成、企業の取り組み支援などを盛り込んだ新たな条例の制定を検討する」などと答弁した。
石井部長は「安心して働くことができる職場環境の整備は人材の確保・定着の面からも重要」などとも強調した。小林達也(こばやしたつや)氏(とちぎ自民党議員会)が質問した。
県はこれまで労働環境等調査でカスハラの実態を把握。ハラスメント対策のセミナー開催など国が作成した企業向けマニュアルなどを活用し、防止措置についての助言を企業に行っているという。
防止条例の制定は、福田富一(ふくだとみかず)知事が知事選の公約の一つに掲げていた。全国的には東京都や北海道で今年、防止条例が成立した。
カスハラが社会問題化する中、自治体のほか、対策を打ち出す企業も増えている。
厚生労働省は16日、従業員を保護する対策を企業に義務付ける方針を示した。
【ズーム】カスタマーハラスメント カスタマー(顧客)とハラスメント(嫌がらせ)を組み合わせた造語で、略して「カスハラ」と呼ばれる。顧客や取引先などが立場を利用し、店員や公務員に暴力を振るったり、理不尽な要求をしたりする迷惑行為を指す。交流サイト(SNS)で個人情報を拡散させるなどインターネット上の被害もある。心身の不調から従業員が退職に追い込まれるなど社会問題化した。