多頭飼育崩壊が起きた動物保護団体の飼育現場。不衛生な室内で痩せ細るなどした犬が多数確認された=2023年9月(調査に入った動物保護団体関係者提供)

多頭飼育崩壊が起きた動物保護団体の飼育現場。不衛生な室内で痩せ細るなどした犬が多数確認された=2023年9月(調査に入った動物保護団体関係者提供)

 数百頭の犬は今も行方不明のままだ-。多数の犬を不適切に飼育したとして県警が9月、動物愛護法違反の疑いで那珂川町の50代女性を書類送付した事件。動物保護団体の代表を務めるこの女性は県動物愛護指導センターに登録し、犬の譲渡を受けていた。

 下野新聞社が県への情報公開請求で入手した資料によると、譲渡数は9年間で1200頭以上。団体では最終的な飼い主への「仲介役」を担っていたが、センターは3割程度の行き先しか把握しないまま譲渡を続けていた。「殺処分ゼロへ」。県が掲げる目標の影で何が起きていたのか。現場を取材した。