団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を迎え、本県でも介護人材の不足が深刻化している。打開策の一つとして期待されているのが外国人の受け入れだが、本県は後れを取っている。さらなる受け入れ拡大に向けて、事業者の理解と環境整備を進める必要がある。

 厚生労働省の推計によると、26年度には介護職員が全国で25万人不足する。このうち本県は必要な職員数3万5271人に対し、実際に確保できる見通しの職員数は2万7196人で、8075人が足りない計算となる。不足数は隣県の茨城県(3841人)、群馬県(1157人)と比べ突出している。

 介護人材を確保するには、処遇改善が引き続き必要であることは言うまでもない。だが人口減少が進む中では、外国人材の力も欠かせない時代になった。

 外国人を介護人材として受け入れる仕組みは(1)インドネシア、フィリピン、ベトナム各国との経済連携協定(EPA)(2)在留資格「介護」(3)技能実習(4)特定技能-の4種類ある。特に増加が予想されるのが19年度に始まった特定技能である。技能や日本語の試験などを行った上で来日し、介護施設などで通算5年間就労する。この間、介護福祉士の資格を取得できれば在留期間を更新できる。

 県によると、県内には約900人の外国人介護人材がいるとされる。このうち「特定技能」は昨年6月末時点で395人。茨城県(975人)、群馬県(790人)と比べると、まだまだ少ない。

 本県は採用を希望する事業者に特定技能の外国人材を紹介し、定着を支援する事業に23年度から取り組んでおり、初年度は20人の外国人が就労した。外国人対象の研修会や受け入れ事業者の連携事業にも取り組んでいる。

 一方、既に受け入れが進んでいる群馬県は、海外での採用活動に対する補助を行っている。茨城県でも昨年度からインド人の人材確保に力を入れており、介護事業者を対象に現地での人材育成状況の視察を行っている。本県でも今後、こうした積極的な取り組みが求められるだろう。

 初めて日本で働く外国人や、外国人を採用したことのない事業者の不安を取り除きつつ、受け入れに向けた理解を促し、日本人と共に円滑に働けるよう後押ししてほしい。