国内最高峰のトーナメント、第90回日本オープン(OP)ゴルフ選手権が10月、日光カンツリー倶楽部(くらぶ)で開催される。本県開催は2003年の同会場に次いで、22年ぶり2度目。プロ、アマチュアを問わずトッププレーヤーが繰り広げるハイレベルな競技に注目が集まるが、この機会にゴルフ場はもちろん、自然や歴史といった本県の魅力を全国に発信したい。

 戦前の1927年に第1回大会が開催された歴史ある大会である。最大120人の出場選手が、4日間の日程でしのぎを削る。過去には第22、25回大会と2度頂点に立った故小針春芳(こばりはるよし)さんをはじめ、本県出身選手3人が計4度優勝している。せっかくの地元開催だ。第90回大会では本県選手が優勝争いに絡むことを期待したい。

 大会はゴルフ愛好者の注目度も高い。埼玉県の東京ゴルフ倶楽部で昨年開催された第89回大会は、延べ1万5千人余のギャラリーを集めた。第90回大会も全国から大勢のギャラリーが見込まれる。ゴルフ場と地元観光関係者らが手を携え、観戦ついでにゴルフ場から周辺にも足を運び日光、そして本県を楽しんでもらえるよう促してほしい。地域経済などへの波及効果が生まれるはずだ。

 会場となる日光カンツリー倶楽部は、県内有数の名門倶楽部である。大谷川の扇状地に松林を配し、間近に日光連山を望む風光明媚(めいび)なコースとして知られる。本大会は共催のNHKが例年、全国中継している。現地を訪れたギャラリーのみならず、テレビ観戦した愛好家たちも美しい光景に魅了されるに違いない。

 豊かな自然に恵まれる本県は同倶楽部にとどまらず、数多くの魅力的なゴルフ場を抱えている。県ゴルフ場協議会に加盟するゴルフ場は98社、100コース。加盟していないコースもあるが、協議会によると、その数は千葉県、兵庫県、北海道に次いで全国4番目という。

 これらは本県にとってスポーツを軸に地域、観光の活性化を図るスポーツツーリズムの貴重な資源だ。県は2023年、市町や県内プロスポーツチーム、観光団体などと連携し県スポーツコミッションを立ち上げて推進している。日本OPのようなビッグイベントは大きな起爆剤となり得る。官民が連携し地域活性化の面でも大会を成功させたい。