栃木市嘉右衛門町のヤマサみそ工場跡地に残る煙突や窯(市提供)

 栃木県内唯一の国重要伝統的建造物群保存地区に選定されている栃木市嘉右衛門(かうえもん)町。歴史ある街並みの中に「ヤマサみそ」と書かれた一本の煙突がそびえ立っている。かつて全国一の生産額を誇った「ヤマサみそ(旧益子味噌(ますこみそ))」の工場跡地の遺構だ。街の盛衰を見つめてきたシンボルを調べてみた。

 「子どもの頃は毎日あの先から黒煙や白い蒸気がモクモクと上がっていたんだ」。地元まちづくり団体の理事長を務める杉戸洋(すぎとひろし)さん(83)が煙突を見上げて往時を懐かしむ。