働く女性をサポートする一環で、宇都宮市は女性特有の健康課題を最新技術で解決する「フェムテック」の活用に乗り出した。月経や妊娠・出産、更年期などの際、フェムテック製品やサービスを使うことで仕事の継続に役立ててもらう。女性が働きやすい職場環境は企業の生産性向上にもつながるはずで、フェムテックの普及に期待したい。

 フェムテックは、英語の「フィメール(女性)」と「テクノロジー(技術)」を掛け合わせた造語。女性ならではの健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指す。

 女性の就労率が高くなる一方で、月経痛や不妊、更年期などを理由にした離職や欠勤、キャリア中断、パフォーマンス低下といった課題がある。経済産業省によると、こうした経済損失は3・4兆円に上ると試算される。

 女性の心身の不調への理解が広まる中、フェムテックにも注目が集まるようになった。月経や婦人科疾患など活用の裾野は広く、月経管理アプリや妊活サポートアプリなど関連市場は年々拡大しているという。

 女性活躍推進の流れを受け、市は育児休暇の積極的な取得や多様な働き方を推進してきた。これまで以上に女性が働きやすく職場復帰しやすい環境づくりを支援しようと、フェムテックを活用する。佐藤栄一(さとうえいいち)市長が昨年11月の市長選で公約に掲げた。

 今月31日には第1弾の取り組みとして、市内企業向けに啓発イベント「フェムテックうつのみや」を市内で開く。県外の先進的企業6社が参加し、職場における女性の健康課題と仕事の両立についてトークセッションを行うほか、関連する商品やサービスを紹介する。

 女性が働きやすい環境の整備を進め、より多様な人材の活用を推進することは、持続的な企業価値の創造の観点からも重要だ。若年女性の流出が課題となっている本県において、フェムテックの観点は欠かせないだろう。

 ただ認知度はまだまだ低く、企業もニーズや活用方法を把握しているとは言いがたい。市はフェムテックを推進していく上で、経営者や管理部門の担当者に向けた一層の周知活動が不可欠だ。企業側も有効なツールを導入し、働く女性の悩みに寄り添ってほしい。