東京から35歳の時に益子町に移住して約40年、那珂川町に「いわむらかずお絵本の丘美術館」をつくって18年になります。両町の間で国道294号を何回往復したことか。いつの間にか栃木県での暮らしの方が人生の中で長くなりました。

 益子町に移り住んだのは、絵本作家としてスタートしてから程ないころです。益子の自宅近くの雑木林が、幼いころ住んでいた東京・杉並の光景にとても似ていたんです。雑木林が自分の原風景なんだと気づいたことが、益子に移り住むきっかけとなりました。

 開発が進む東京から原風景が失われていく一方で、益子にはそれがありました。